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意匠動向分析サービスのご紹介

2017/07/18 意匠 企業動向

現在、特許情報を解析し企業動向/技術動向を把握する特許動向分析が盛んに行われています。一方意匠に関しては、分析機能の充実したデータベースが存在しない等の要因か、まだそれほど盛んに行われていないのが現状です。

しかしながら、意匠権活用に対する関心の高まりとともに、分析テーマは様々ですが、NGB IP総研では意匠動向分析のご相談を頂く機会が徐々に増加しており、特定企業を対象とした「ハーグ条約の利用動向」、「意匠の生存状況動向」、「製品毎の海外出願動向」、「部分意匠の活用動向」、「秘密意匠の活用動向」等の情報提供を行っています。

今回は、実際に意匠動向分析においてどのような情報が読み取れるか、『海外主要情報通信企業における画面意匠の出願動向』をテーマに動向分析例の一部をご紹介させて頂きます。

テーマ
海外主要情報通信企業における画面意匠の出願動向

検索条件
調査期間:2013/01/01(出願日)~ 2016/12/31(出願日)
調査対象国(機関):US、EU、WO(ハーグ)、CN、KR
調査利用分類(US):D14/485(GENERATED IMAGE)およびその下位分類D14/486 ~D14/495
調査利用分類(EP・WO(ハーグ)・CN) : ロカルノ分類 14-04(スクリーンディスプレイ及びアイコン)
調査利用分類(KR) 韓国意匠分類において末尾に(画面デザインを示す)Sを含むもの
調査対象企業:Samsung、Microsoft、Apple、Google、LG、ZTE、HTC、Lenovo、Xiaomi、Huawei

チャート読み取り時の留意事項
※EUを指定国としたWO(ハーグ)出願は、WIPOから公報が発行されるのみで、EUIPOからは公報は発行されません。
※多意匠一出願制度のある国は一意匠を一件とカウントしています。
※各国とも出願から登録(公開)までのタイムラグが存在しますが、実体審査の存在する国(US、KR)では特に、2015年終盤に出願された意匠が現時点でも登録(公開)されていない可能性があります。

動向分析例1.海外主要国における画面意匠の出願件数推移は?(出願人限定なし)
チャート1の説明
横軸に出願年、縦軸に出願件数とし、調査対象国(US、EU、WO(ハーグ)、CN、KR)の出願件数推移を比較するチャートを作成。

チャート1より読み取れる情報例
・中国における出願件数が2014年から激増。
中国において画面デザインが2014年5月1日より保護対象に加えられたことが影響。

・EUにおける出願件数が減少傾向、一方WOにおける出願件数は増加傾向。
上記傾向の明確な要因は特定できない。但しEUを指定国とする事ができるWO(ハーグ)出願の利用増加が、EU出願の減少傾向の一因となっている可能性はあると推測される。

※US及びKRに関してチャート上減少傾向と読み取れるが、実体審査による出願から登録(公開)までのタイムラグが影響している可能性があるため、現時点での傾向に関する判断は困難。

動向分析例2.調査対象企業の海外主要国の出願件数は?
チャート2の説明
横軸に調査対象国、縦軸に調査対象企業、バブルの大きさを出願件数としたチャートを作成。

チャート2より読み取り可能な情報例
・WO(ハーグ)出願に関して、Samsung、Microsoft、Google、LG、Lenovoが出願。特にSamsungの件数が多い。一方、Apple、ZTE、HTC、Xiaomi、Huaweiは出願していない。
WO(ハーグ)出願利用のメリット(低コスト等)とデメリット(拒絶の根拠となる情報の公開※等)を考慮し、企業によってWO(ハーグ)出願の利用の是非が分かれていると推測。Samsungが積極的に利用しているのに対し、Appleが利用していない点は特徴的。Samsungに関してはWO(ハーグ)出願の詳細を更に動向分析例3としてご紹介いたします。

※指定国における拒絶内容が誰でも閲覧可能な状態となります。

・CN出願に関して、Samsung、Apple、Google、LG、ZTE、Lenovo、Xiaomi、Huaweiが出願。特にSamsungの件数が多い。一方、Microsoft/HTCは出願していない。SamsungやApple等が中国において画面デザインに関する出願を行っているが、Microsoft、HTC は中国において画面デザインに関する出願を行っていない点が特徴的。中国においては現時点において部分意匠制度は導入されておらず、画面における画像デザインを部分意匠として登録ができない等の点が企業の方針の違いに少なくとも影響している可能性は存在すると推測。


チャート1


チャート2

動向分析例3.SamsungはいつWO出願を利用開始し、指定国はどこ?
チャート3の説明
横軸に出願年、縦軸に調査対象国、バブルの大きさを出願件数としたチャートを作成。
チャート4の説明
画像デザインに関するWO(ハーグ)出願の指定国別の件数を示した表を作成。

チャート3および4より読み取り可能な情報例
・SamsungのEU出願は2015年が最後となり、WO(ハーグ)出願は2014年以降増加
・SamsungのWO(ハーグ)出願の指定国はEUのみ(他の指定国は確認できず)

EUにおける権利確保には、EUに直接出願する方法と、WO(ハーグ)出願においてEUを指定国とする方法が存在し、Samsung はEUに対する出願方法をEUへの直接出願からWO(ハーグ)出願においてEUを指定する方法に切り換えている。

SamsungはWO(ハーグ)出願の指定国を実体審査の行われないEUのみに絞り込むことで、WO(ハーグ)出願のデメリットの一つと考えられる「拒絶の根拠となる情報の公開」自体の発生を抑止し、「低コスト」とのWO(ハーグ)出願のメリットを享受する方針転換を行った可能性があると推測される。


チャート3


チャート4

最後に
今回は『海外主要情報通信企業における画面意匠の出願動向』を例に取り、意匠動向分析の一部をご紹介させて頂きました。意匠図面の読込調査は行っておりませんが、書誌データのみにおいても様々な情報が読み取り可能である点をお伝えできておりましたら幸いです。

今後、意匠出願/活用方針のご検討の際、業界や競合他社の意匠出願動向も検討対象とされる場合は、是非お気軽にご相談下さい。※意匠図面の読込調査による詳細な統計分析や出願手法分析も承り致します。

(IP総研 渡邊)
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