TOPページ知財情報日本知財学会第13回年次学術研究発表会 大学発イノベーション分科会セッションにパネリストとして参加

日本知財学会第13回年次学術研究発表会
大学発イノベーション分科会セッションにパネリストとして参加

2015/12/17 企業動向 セミナー イベント

2015年12月5日(土)・12月6日(日)に東京大学(本郷キャンパス)で開催された日本知財学会第13年次学術研究発表会の大学発イノベーション分科会セッションにIP総研の研究員がパネリストとして参加しました。
(https://www.ipaj.org/workshop/2015/pdf/S11.pdf)
(抜粋)
“オープンイノベーションへの流れに代表されるように、これまで以上に大学に対する社会的期待は高まっています。そしてこの期待に対し、科学コミュニティは自ら研究開発活動の意義や在り方について考え、改善し、 行動し、説明する責務も合わせて負わなければなりません。そのためには、学術的な研究成果をイノベーション創出につなげる方策を分析・研究・提言する活動が必要です。本分科会はこのような現状認識のもと「イノベーション創出に向けた大学等の知的財産の活用」をメインテーマとし、2015年4月に発足しました。今回の企画セッションでは、初回の年次大会でもあり、まず、分科会のメインテーマである「イノベーション創出に向けた大学等の知的財産の活用」について、大学の立場からイノベーションを加速するには、どのような、知財戦略、研究戦略が必要か? -現在の課題と今後の展望の討論-」と題し以下の4名の講演後、パネルディスカッションを現状の分析と今後の検討課題の明確化を行う。”
(以上抜粋)

講演では、日本、米国、中国の大学発特許出願の現状と傾向について、件数推移、出願技術分野、権利維持状況、共同出願状況といった基礎的なデータを中心に紹介を行いました。

講演内容の一部を以下に紹介します。

尚、以下の条件にて分析を行っております。
・対象データ:日本・米国・中国 特許・実用新案
・対象期間:2000年~2013年出願分
・大学の検索
 日本:出願人・権利者名に『大学』『学校法人』
 米国:出願人・権利者名に『univ』『college』『institute』『research*foundation』
 中国:出願人・権利者名に『大学』


各国出願件数推移


各国出願件数ランキング

出願件数推移をみると、日本における大学等の特許出願件数は2004年の国立大学法人化を機に急増し、その後、年間6千件程度で推移しています。これに対して、米国は約2倍強、中国は約20倍の出願規模となっています。

出願件数ランキングでは、米国のトップ20に中国、韓国、台湾の大学が入っていますが、残念ながら日本の大学はランク外となっています。中国トップの浙江大学は累積で2万件、年間3000件を超えており、1大学で日本の大学の年間出願件数のおよそ半分に匹敵する件数を出願しています。


各国権利維持状況


各国共同出願状況

権利維持状況をみると、中国での権利維持率は日本・米国に比べて極端に低いことが分かります。ここでの権利維持率は、登録になったものの中で、現時点(2015年11月)で権利存続中のもの割合としています。権利化を行っても大多数が維持されないというのは、そもそも権利活用を目的とした出願でないものが多いということが考えられます。中国では、補助金・奨励金、昇進、研究費用獲得といったことを目的とした出願、所謂件数稼ぎの出願が多いと言われています。

共同出願状況では、日本の共同出願率が極めて高いのが特徴的であり、さらにその割合は年々増加の傾向にあることが分かります。共同出願は決して悪いことではありませんが、共同出願の多い理由が「大学単独では予算が無いため」では寂しいものです。共有特許の譲渡・ライセンスに関わる課題、大学の研究成果に対する大企業による「プリエンプション(先取り)」といった問題もあります。大学は企業の単なる下請研究機関ではなく、対等なパートナーとして企業と大学が本気で事業化に取り組む環境が求められます。

最後に、講演後のパネルディスカッションでは、特に、リーダーの人材育成、共同出願時の契約等の対応、ベンチャーの育成といった点が課題として挙げられました。

(IP総研 中根・伊藤)
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