TOPページ知財情報2015年日本企業の米国特許訴訟関与状況- [2]被告編

2015年日本企業の米国特許訴訟関与状況- [2]被告編

2016/04/01 判決/事例紹介 米国 各国統計

2015年に米国連邦地裁で提訴された特許訴訟において、日本・日系企業(以下日本企業)がどのように関与したかについて、IP総研で調査を行いました。本稿では「原告編」「被告編」の2回に分けて、状況をご報告します。

=>[1]原告編はこちら

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[被告日本企業]
2015年の米国特許訴訟5,818件の内、日本企業が被告として関わった訴訟は202件、全体の3.4%である。被告企業数は延べ344社。3件以上被告となっている日本企業のランキング(上位32社)は以下のとおりである。昨年同様多くの電気会社や自動車会社が被告として関わっている。


[裁判地]
日本企業に限定しない2014年の米国特許訴訟全般においてよく使われた連邦地方裁判所はテキサス州東部連邦地裁(1,427件、28.5%)とデラウエア州連邦裁判所(946件、18.9%)だった。2015年も両裁判所が上位の2つの裁判所だが、テキサス州東部連邦地裁(2,540件、43.6%)とデラウエア州連邦裁判所(545件、9.3%)となっており、テキサス州東部連邦地裁(E.D.Tex)での裁判が大幅に増加(*)したことが分かる。

さて、2015年に日本企業が被告になった事件の裁判地ランキングは以下のようになる。


日本企業が被告となった2014年の米国特許訴訟でよく使われた連邦地方裁判所はテキサス州東部連邦地裁(83件、43.9%)とデラウエア州連邦裁判所(35件、18.5%)であった。2015年も両裁判所が上位の2つの裁判所だが、テキサス州東部連邦地裁(113件、55.9%)とデラウエア州連邦裁判所(33件、16.3%)となっており、米国特許訴訟全般の傾向と同様にテキサス州東部連邦地裁(E.D.Tex)での日本企業が被告である裁判が増加したことが分かる。

最後に、E.D.Texでの特許訴訟が大幅に増加(*)した原因をWilmerHale事務所のDavid L. Cavanaugh 弁護士(Chair, Post-Grant Patent Proceedings Group)に聞いてみたところ、以下の返答を得た。
1. Alice事件(特許適格主題に関する最高栽判決)により、ソフトウェアやコンピューター関連特許の権利行使が難しくなっている。特にNPE(特許不実施主体)の多くはそのような特許を使っている場合が多い。E.D.Texは他の裁判所に比べてAlice判決の影響を受けにくい(特許無効化されにくい)という統計も出ている。デラウエア州連邦裁判所は逆に特許無効化されやすいという統計も出ている。
2. IPR手続き中の訴訟手続停止(stay)が典型的な被告側の防御手段になっているが、他の裁判所に比べてE.D.Texでは訴訟手続停止が認められにくい。
3. 2016年の初めまでは議会でいわゆるパテントトロールを厳しく取り締まる方向の議論がされており、法改正案は勢いがあった。結局大統領選挙期間が始まりこのような法律改正の動きは失速しているが、このような法律改正が施行される前に有利なE.D.Texで提訴しておきたいというNPEの機運が盛り上がった。

(IP総研所長 折田)

NGB IP総研ではLex Machinaというユニークな検索ツールを使用して米国特許訴訟・PTAB手続き(IPR/CBM/PGR)ついての各種分析をお届けしておりますのでご活用をご検討ください。
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