TOPページ知財情報【中国視察2018】  [4] 北京市中信公証処

【中国視察2018】
 [4] 北京市中信公証処

2018/10/23 中国 イベント

NGBはクライアント企業7社(8名)のご参加を得て、9月3日 (月) - 7日 (金) の日程で中国視察ツアーを催行した。 本稿では公証役場(北京市中信公証処)との交流の模様を抜粋してご報告する。

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北京市中信公証処は、ここ数年の中国視察ツアーにおいて定番の訪問先である。今回の訪問では同公証処から薛高峰調査部長、崔艶営業三部副部長、胡偉事務室副主任の3名にお会いさせて頂き、中国における公証の概要・役割ならびに訪問団との意見交換を行った。更には、China-IP Publication.netサービスの提供でNGBと協力関係にある崔暁光弁護士にもご同席頂き、公証についてアドバイスを頂いた。



[中国の公証処の現状]
2017年現在、中国の公証処の事業箇所は3000箇所あり、そのうちの事業体制の公証処が2850箇所、協力体制の公証処が41箇所、その他が51箇所となっている。公証人は全国で13000人、その他、事務等の公証従事者が全国で20000人である。2017年の公証業務の案件数は全国で1450万件あり、内訳は国内案件が1097万件、残りの約353万件が外国・香港・マカオ、台湾の案件である。

北京には公証処が25箇所あり、北京全体では400人の公証人がおり、今回訪問した北京市中信公証処には公証人が60人在籍している。北京市中信公証処は中国で一番規模が大きく全従業員数は170名、2017年の公証書発行件数が2000件で、2017年の北京優秀公証処と認定されている。

[公証人について]
公証人になるためには幾つかの条件があり、中国の国籍者であること、年齢が25歳から65歳までであること、重要なことは中国の司法試験に合格していこと、公証処での2年以上の職歴があるか、或いは、3年間の法律業務経験と1年間の公証処経験があることに加え、司法部長、大臣からの任命が必要となっている。

[公証の役割]
公証の主な役割は、将来の紛争を防止することであり、公証としては下記のものがあげられる。
(1)法律行為の証明: 契約書、不動産譲渡、贈与、遺言、財産分与など
(2)法律の意義を有する事実の証明: 入札現場、宝くじ売り場、出産、結婚など
(3)法律の意義を有する書類の証明: 知的財産権譲渡、ライセイス、委任状、定款など
(4)付随サービス(証拠保全): 契約書、遺言書、その他の書類の保管など

[公証法36条と民事訴訟法69条]
法律に基づき手続きを経て公証で証明された法律行為・事実・書類は、すでに真実性・合法性の特徴を有しており、司法機関、仲裁機関、行政機関などは公証証書を事実と確定する根拠としなければならない。ただし、公証を覆すための反証がある場合はこの限りではない。

[質疑応答]
公証処の薛高峰調査部長より公証についての説明後、質疑応答の時間が設けられたため、視察団から出た質疑のいくつかについて掲載する。

[Q]中国において公証の重要性は理解できたが、将来に備え全ての証拠について公証を取得するというのは費用面、作業面を考慮すると現実的とは思えず、知財訴訟の証拠として公証を取得する場合、費用面で効率的に公証取得のためのアドバイスを頂きたい。
[A]中国で訴訟を提起する時にどのような証拠を収集するのか、から始まる。法律事務所・特許事務所が訴訟の戦略的なプロであるため、弁護士・弁理士に相談するのが良いと思う。その他、公証処に来られた時に公証人に事件の状況を詳しく説明することが重要で、公証人は案件の全体的な状況を把握したうえで比較的良いアドバイスができると思う。公証人と十分なコミニュケーションをとることで、その案件について、どのような公証を取得すべきかついてアドバイスできると思う。

[Q]模倣品の販売現場に公証人を同行して頂き、販売の事実を公証してもらうまでの要する時間はどのくらいか?
[A]公証法で規定があり、公証申請から公証書が出来上がるまでの期間は15日以内に作成するという決まりがある。複雑な案件や公証のための資料が不足しているなどの例外的な状況において延長は可能であるが、公証書作成の最終期限は6か月であり、6か月以内に公証書が作成できない場合は、業務が打ち切りとなり、公証申請は取り消される。

[Q]公証書作成にかかる費用はいくらか?
[A]公証の料金体系は2つから構成されていて、一つ目は基本料金で、国で定めており1000元が必ずかかる費用である。二つ目は負荷的費用で、公証処が独自に定めるもので案件の難易度により決まる。案件の複雑性や出張が必要など、個別に見積もりをとって商談する。事実実験公証の場合、法律で定めがあり、必ず二人立ち会わなければならない。そのうちの少なくとも一人は公証人で、もう一人は公証人でなくても良いが公証処の職員でなければならない。

[Q]知財侵害の証拠保全において、現場での証拠の公証の際に警察の同行はできるのか?
[A]基本的に警察が同行するとなると、きちんとした証拠が取れない場合が多いのが現状である。通常は秘密でばれないように行うのが一般的なので、実際、警察が同行するのは希だと思う。危険性を伴うと判断するのであれば、行政摘発によって直接に行政に動いてもらうのが良いと思う。

[Q]審決取消訴訟の提起では、時間が無い場合があり、限られた時間の中でいかに証拠を集めて公証するかがカギになるかと思うが、その点についてアドバイスを頂きたい。
[A]実験公証などは時間がかかるので、最後の最後になって申請するのではなく、早めに依頼するのが重要と思う。審決取消訴訟については、予備申請が可能である。先ずは予備申請をして、そのあとに公証認証を補うというやり方ができるので、裁判所での手続きでは、そのような手段をお勧めする。

[Q]公証処は民営なのか、或いは、国営なのか?
[A]公証処は国有団体であり、営利団体ではありません。公証処は国営の法人という扱いで、営利を目的とする法人ではありません。

[Q]調査会社等を利用して現場での証拠収集する際に公証人の身分を明かさずに同行してもらうことは可能か、要は秘密の同行は可能か?
[A]公証というのは第三者の視点から、ある事実を獲得する行為であるため、自分の身分を明かさないといけないということはありません。

[Q]外国で公証を取得した証拠を中国で利用する際には、中国の領事館で認証を受ける必要があるが、中国の領事認証と公証は同一に扱ってもらえるのか?
[A]領事認証と公証は形式上では異なるが、証拠としての効力は同じである。位置づけや地位が同じである。

(営業推進部 中村)

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