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【特許・意匠ニュース】
韓国、方法の発明に関して発明の実施に係る規定および特許権の効力に係る規定の法改正

2020/02/20 特許/実案 韓国 法改正

1. 法改正概要
 ソフトウェア関連発明に関する特許権の保護の強化を目的として、韓国特許法が改正されました。具体的には、プログラムにより実行される処理に係る方法の特許発明の権利範囲が、プログラムをオンラインで伝送する行為に対して及ぶように、方法の発明の実施の範囲を拡大させるように改正されました。改正法の公布日は2019年12月10日、施行日は2020年3月11日です。

 韓国特許法第2条に以下のように規定が追加されます。

旧法
新法
第2条(定義)この法で使用する用語の意味は、次の通りである。
1. (省略)
2. (省略)
3. “実施”とは、次の各目の区分による行為をいう。
 イ. (省略)
 ロ. 方法の発明である場合:その方法を使用する行為

 ハ. (省略)
第2条(定義)この法で使用する用語の意味は、次の通りである。
1. (現行と同様)
2. (現行と同様)
3. “実施”とは、次の各目の区分による行為をいう。
 イ. (現行と同様)
 ロ. 方法の発明である場合:その方法を使用する行為、又はその方法の使用を申し出る行為
 ハ. (現行と同様)
(原文:産業通商資源部から公布された特許法の一部改正法案)


 併せて、特許権の効力に関する韓国特許法第94条に以下のように規定が追加されます。
旧法
新法
第94条(特許権の効力)
(省略)
<新設>
第94条(特許権の効力)1. (現行と同様)
2. 特許発明の実施が、第2条第3号ロ目による方法の使用を申し出る行為である場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権又は専用実施権を侵害するということを知りつつその方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。
(原文:産業通商資源部から公布された特許法の一部改正法案)


 今後は、プログラムにより実行される処理に係る方法の特許を取得することで、プログラムをオンラインで伝送する行為に対する権利行使が可能になります。ただし、「申し出る」行為が対象であるためオンライン伝送を提供する側に対してのみ権利行使が可能であること、および、「故意」であることの立証が必要になることに留意が必要です。

2. 法改正の背景
 現在の韓国特許法上、「プログラム」自体は物の発明として認められていないものの、「コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されたプログラム」は物の発明として認められています。しかし、プログラムをオンラインで伝送する行為に対しては、「コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されたプログラム」の特許発明の権利範囲が及ばないという問題がありました。また、現在の韓国特許法上、方法の「使用」行為のみが方法の発明の実施に該当するため、プログラムにより実行される処理に係る方法の特許を取得したとしても、プログラムをオンラインで伝送する行為に対しては特許発明の権利範囲が及ばないという問題がありました。
 そこで、ソフトウェア関連発明に関する特許権の保護の強化を目的として、上述の通り韓国特許法が改正されました。

3. 方法の発明の実施に関する主要国の法の比較
 今回の韓国の特許法改正は、特に欧州各国の特許法の規定を参照したものであるといわれています。以下は、ドイツ、イギリス、フランス、日本、米国、中国における、方法の発明の実施に関する法上の規定です。
方法の発明に関する法上の規定
ドイツ特許法第9条
特許は,特許所有者のみが,適用される法律の範囲内において特許発明を実施する権限を有するという効力がある。特許所有者の同意を得ていない第三者は,次の行為をすることを禁止される。
1. (省略)
2. 特許の対象である方法を使用すること又は特許所有者の同意を得ないでその方法を使用することが禁止されていることを当該第三者が知っているか若しくはそれが状況からみて明らかである場合に,本法の施行領域内での使用のために,その方法を提供すること

イギリス特許法第60条
(1)本条の規定に従うことを条件として,発明の特許が効力を有する期間中に,ある者がその発明につき,特許権者の同意を得ずに連合王国内において次の何れかの事柄をするときは,その者は当該発明の特許を侵害する。
(a)(省略)
(b)その発明が方法である場合において,その者が連合王国内においてその方法を使用し又はそれを使用させる申出をすること。ただし,その所有者の同意を得ずに連合王国内においてこれを使用することが当該特許の侵害になることをその者が知り,又は当該の事情の下では分別のある人にとりそのことが自明であることを条件とする。
フランス知的財産法第L613条3
次の行為は,特許所有者の同意がない限り,禁止される。
(a)(省略)
(b)特許の対象である方法を使用すること又は特許所有者の同意がない限りその方法を使用することが禁じられていることを第三者が知っているか若しくはそのことが状況から明白である場合に,フランスの領域内での使用のためにその方法を提供すること
日本特許法第二条
 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 (省略)
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 (省略)
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
米国特許法第271条(注)
(a)本法に別段の定めがある場合を除き,特許の存続期間中に,権限を有することなく,特許発明を合衆国において生産し,使用し,販売の申出をし若しくは販売する者又は特許発明を合衆国に輸入する者は,特許を侵害することになる。
中国専利法第十一条
発明及び実用新案の特許権が付与された後、本法に別途規定がある場合を除き、いかなる部門又は個人も、特許権者の許諾を受けずにその特許を実施してはならない。即ち生産経営を目的として、その特許製品について製造、使用、販売の申出、販売、輸入を行ってはならず、その特許方法を使用することできず、当該特許方法により直接獲得した製品について使用、販売の申出、販売、輸入を行ってはならない。
……
(注) 米国特許法271条(a)は、発明を「物の発明」と「方法の発明」とに分けていません。


(参考)
・産業通商資源部から公布された特許法の一部改正法案
http://likms.assembly.go.kr/bill/billDetail.do?billId=PRC_G1N9Q1A0N0M1G0R9J4G7K3V7C2E4E6
・特許庁HP
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/mokuji.html

(記事担当:特許第1部 渡邉)

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