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【特許・意匠ニュース】
 メキシコ、2020年11月5日より施行される新たな産業財産保護に関する連邦法の医薬・農薬関連法規について

2020/09/23 特許/実案 中南米 法改正

 別の記事でご紹介しましたように、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の発効に伴い、メキシコにおいて、協定内容を反映させた新たな産業財産保護に関する連邦法(以下、新法)が2020年11月5日より施行されます。
 本記事では、医薬・農薬分野における影響をご紹介します。


○医薬品に関する特許権の存続期間の延長
 USMCAでは、医薬品に関する特許権の存続期間の延長について規定されています(USMCA, Article 20.46)。特許の対象となる医薬品について、医薬品の販売承認プロセスによる実質的な特許権の存続期間の不当な削減を特許権者に補償するため、当局は特許権の存続期間の延長を可能にするべきであると定められています。

 USMCAにおいては、特許権の存続期間の延長のために、以下の制限を設けることが認められています。
i) 販売承認を受けた各医薬品につき、特許権の存続期間の延長は一回に限られる。
ii) 延長は、対象の医薬品に付与された、最初の販売承認に基づくものとする。
iii) 延長期間の上限は5年間とする。
iv) 独自の追加保護を認める場合、その独自の追加延長期間の上限は2年間とする。

 なお、医薬品に関する特許権の存続期間の延長規定については、メキシコが施行するまでの期間を4年半としております(USMCA, Article 20.89)。新法では、医薬品に関する特許権の存続期間の延長についてはまだ規定されていません。


○データ保護期間
 データ保護期間とは、当局が、新規の医薬品や農薬に販売承認を与えるために安全性および有効性に関する非公開データなどの情報提出を要求する場合、または、新規製品の販売承認を与える条件として、他地域における当該製品の先の販売承認の証拠提出を許可する場合に、先に当該情報を提出した者(例:先発品の製造会社)の同意なしに、第三者(例:後発品の製造会社)へ、当該情報や先の販売承認の証拠などに基づいて、新たな医薬品や農薬の販売を許可してはならない期間です。

 USMCAでは、新規農薬製品については10年間、新規医薬品については5年間を、データ保護の最小期間として定めています(USMCA, Article 20.45, 20.48)。ここで、データ保護期間に関する条文における「新規医薬品」とは、その当局で既に承認された化学物質を含まない医薬品を意味します(USMCA, Article 20.49)。

 なお、このデータ保護期間の規定については、メキシコが施行するまでの期間を5年間としております(USMCA, Article 20.89)。

 新法第168条では、新規成分を使用する医薬品または農薬の安全性および有効性を判断するために必要な情報は、適用される法律、または該当する場合には国際条約の条件の下で保護されなければならないと定められています。しかし、新法第168条では、具体的な保護期間についての規定はありません。


○パテントリンケージシステム
 メキシコにおける現在のパテントリンケージシステムは、特許権を侵害する可能性のあるアロパシー薬の販売承認を回避するために、アロパシー薬特許のリストが公開され(現行の産業財産保護に関する規則第27条の2)、所定の状況下において、アロパシー薬の承認前に、医薬品の販売承認申請者から提出された情報を、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)がメキシコ産業財産庁(IMPI)に送付し、IMPIによって特許権が侵害されていないか確認する制度です(Health Goods Regulations第167条の2)。

 USMCAでは、所定の条件下においては、承認された医薬品またはその承認された使用法に関する特許権の存続期間中に、第三者が当該医薬品を販売しようとしていることを、当該医薬品の販売に先立って、当局から特許権に係る権利者(特許権のライセンシー、販売を承認された者を含む)に通知するシステムや、その特許権の有効性または侵害に関する論争を解決する手続き(司法手続きまたは行政手続き)などを提供しなければならないと定められました(USMCA, Article 20.50)。または、メキシコはArticle 20.50に準拠したシステムを採用する代わりに、特許権に係る権利者などに、手続きの開始を知らせたり、最終処分の前にその者の立場を支持する事実および論証を示す機会を与えるといった、行政手続きなどの提供を保証することで、第三者が販売承認を受けることを妨げる、司法手続き以外のシステムを採用することもできる、と定められました(USMCA, ANNEX 20-A)。

 この度、上述のアロパシー薬特許のリストの公開についての規定は、産業財産保護に関する規則から新法すなわち連邦法に移動され、さらにその公開の条件はHealth Goods Regulations 第167条の2の規定に沿うと明記されました(新法第162条)。

 今後、新法以外の制度が変更され、USMCAで定められた特許権に係る権利者への通知などの新たな工程が追加されると予想されています。


 弊社では、引き続き情報収集および調査を進めて参ります。

(参考)
USMCA
https://ustr.gov/trade-agreements/free-trade-agreements/united-states-mexico-canada-agreement/agreement-between
メキシコ連邦広報誌
https://www.dof.gob.mx/nota_detalle.php?codigo=5595761&fecha=29/06/2020
https://www.dof.gob.mx/nota_detalle.php?codigo=5596010&fecha=01/07/2020

記事担当:特許第2部 峰岸

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