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5分でわかる「包袋に含まれる検索報告書」

2013/06/20 特許/実案 日本

本稿では日本特許出願包袋に含まれている検索報告書について簡単にご説明いたします。

包袋に含まれる検索報告書とは
審査のための先行技術調査は全てを審査官が行うわけではなく、審査の迅速化を図ることを目的として一部が外部機関のサーチャーに外注されています。この外部機関にて作成された検索報告書が特許法第186条に規定される特許に関する書類とされ、包袋閲覧の対象となっています(*1)。 この検索外注は1985~1988の試行期間の後、1989年から本格的に開始されています(*2)。以下のグラフにある通り、2011年は24.2万件件が外注されています。2011年の一次審査件数が約36.3万件(*3)でしたので、単純計算すると全体の約2/3が外注されていると想定されます。


検索外注件数の推移 (出典:特許行政年次報告書2012)

2013年6月3日付け日本経済新聞の朝刊1面の記事によると、「過去の特許との重複がないかどうかを事前に調べる業務の7割を外部に委託する」とあり、今後さらに審査書類情報照会にて検索報告書を目にする機会が増えると思われます(*4)。

検索報告書の具体例
一例として、特願2010-016349(アルコール検出装置)の検索報告書を確認してみましょう。
J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の「特許・実用新案」タブから「6.審査書類情報照会」を選択し、●種別:特許出願番号、●番号:2010-016349 と入力し「照会」ボタンをクリックします。次に、表示される「参照可能書類リスト」にある「8. 2012/12/26 :検索報告書 」をクリックすると、特願2010-016349の検索報告書が表示されます。
上記操作に関しては、各自でご確認をお願いたします。
※ 2015年3月20日のIPDL (特許電子図書館) サービス終了に伴い、IPDL関連の記載をJ-PlatPatに沿うよう修正しました。

検索報告書の構成
報告書には以下の項目が含まれています。
書誌事項
1.本発明の特徴
2.検索論理式
3.スクリーニングサーチの結果(提示文献毎の表示)
4.スクリーニングサーチの結果(クレーム別形式)
5.備考(検索者用)

検索論理式の見方
検索報告書で最も多く見受けられるクラスタ検索(FI、Fターム、キーワードを用いた検索)の検索論理式に関し、特にキーワード検索の一部について簡単に解説いたします(*5)。(技術分野によっては、クラスタ検索の他に、ICIREPAT(合金)検索、STN REGISTRY, CAplusファイル等も利用されています。) FI検索およびFターム検索については論理式にある通りですが、キーワード検索はあまりなじみのないものとなっています。

<フルテキスト検索>
 例)アルコール/TX

 2単語近傍検索: 入力方法:「キーワード1,語間隔指定 語順指定,キーワード2/TX」
 例) アルコール,3C,センサ/TX

 3単語近傍検索: 入力方法:{キーワード1,キーワード2,キーワード3},10N /TX
 例) {引き金,ファン,回転},10N /TX

 ※語順指定の種類
 C:語順指定ありキーワード1、キーワード2の並びで順で出現
 N:語順指定なしキーワード1、キーワード2の語順は無視して検索

<フリーワード(統制語)検索>
「??アルコール」のように、記号「??」がついた検索語をみかけることもあります。この式は、
??アルコール=?アルコール+アルコール?
と展開され、探したいフリーワードの前後のどちらかに何らかの文字がついているものを検索しています。(後方一致、前方一致を検索)。なお、審査官端末で利用できるフリーワードには、審査官フリーワード、パトリスフリーワード、しおりフリーワードの三種類があります。

<その他の検索演算子等>
¥: 集合番号
$: 階層無視検索:一つのF ターム、FTと完全に一致するタームのみ検索
+: 論理和(or) A+B=AまたはBを満足するもの
*: 論理積(and) A*B=AとBの両方を満足するもの
-: 論理否定(not) A-B=Aを満足するもののうちBを除いたもの
[ ]: 演算順序指定:かっこ内を優先して計算
( ): 簡易入力(検索キーの入力を簡略化)AC(01+11)=AC01+AC11

検索報告書に記載された検索論理式は、追加調査が必要となった場合に特に利用価値の高い情報となります。さらに範囲を広げて検索する場合や、重複を避けた検索、検索報告書の論理式とは異なるロジックで検索を行う場合等に是非ご活用いただきたいと思います。

高度な検索が可能な閲覧用機器(旧特許審査官端末)
特許庁の公報閲覧室においても、特許審査官と同等の検索端末を利用することが可能です。従来は「特許審査官端末」と呼ばれていましたが、2013年4月1日から「高度な検索が可能な閲覧用機器」と改称されました(*6)。これは、フリーワードが審査官フリーワードのみであること、絞り込みのための全文二次検索が出来ないこと等、実際に審査官が利用している検索システムと多少異なることが理由のようです。

検索報告書の入手方法
すべての包袋に検索報告書が含まれている訳ではありません。これは、先行技術調査が外注された案件についてのみ検索報告書が含まれているためです。審査書類情報に検索報告書が含まれているか否かの確認については、整理標準化データを収録した多くの商用データベースにて検索可能です(整理標準化データコード:A971007(検索報告書))。

どの案件に検索報告書が含まれているのか特定できれば、2003年(平成15年)7月以降のものは、上述の通りIPDLの「審査書類情報照会」にて文献番号から参照することができます。

2003年6月以前のものは、特許庁へ閲覧請求を行う必要があります。誰でも包袋の閲覧請求により入手することが可能ですが、誰が閲覧したかという記録が残ってしまいます。ライバル企業等に閲覧の事実を知られたくない場合は、第三者へ入手を依頼することをお勧めいたします。もちろん、弊社でも(2003年6月以前分だけでなく2003年7月以降分も含めて)包袋入手サービスを行っておりますので、お問合せフォームよりお気軽にお問合わせ下さい。

(*1)特許庁 特許・実用新案 審査ハンドブック 35.01 検索外注
(*2)特技懇「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」改正に伴う新しい検索外注スキームの概要
(*3)特許行政年次報告書 2012
(*4)日経新聞 2013.06.03 特許審査「待ち時間」を大幅短縮 認定3年以内に
(*5)独立行政法人 工業所有権情報・研修館「検索の考え方と検索報告書の作成」
(*6)独立行政法人 工業所有権情報・研修館「高度な検索が可能な閲覧用機器による閲覧」

(IP総研 主任研究員 呰信隆)
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