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2022.12.13

特許部 大串聡

【2022年 米国トレーニー日記】第3回:Patent Bar試験について

弊社では、2022年6月から、米国ワシントンDCの特許事務所へのトレーニー派遣を再開しました。

私(大串)は、2022年6月~12月の半年間にわたって滞在予定です。

前回は「米国特許事務所の様子」について紹介しましたが、今回は、Patent Bar試験についてお話したいと思います。

米国特許庁に対して代理人として手続きを行うにはPatent Bar試験に合格し、登録する必要があります。具体的な試験概要については、USPTOの募集要項ページに記載されています。弊社の過去記事も併せてご参照下さい。私の場合は、試験申し込みから2週間程で受験許可通知が送られてきました。

私が試験勉強に用いた資料は主に以下の3つです。
(1) 丸島 敏一(著)「MPEPの要点が解る米国特許制度解説 第3版」
まずは、当該資料を用いて米国特許制度の概要を復習しました。
理解が不十分な点についてはMPEPやCFRを参照するようにしました。
特に、102条に関連する部分は理解が完璧になるように努めるとともに、出願時に必要な書類や優先権に関する事項、各種期限に関する事項(特にReexaminationに関する延長の可否と期限は複雑)はなるべく漏れのないように理解するようにしました。

(2) 滞在先事務所から頂いた教材
滞在先事務所にPatent Bar試験を受験予定であることを伝えたところ、MPEPの各章毎の概要のまとめと練習問題が含まれている研修用資料を頂きました。
当該教材を用いて、「各章毎のまとめを読む→練習問題を解く→理解が不十分な部分はMPEPを参照する」ということを100章から順番に行いました。

本番の試験ではMPEPを参照可能ですが、参照する際には、章を選択した後、単語検索を行うことになります。
そのため、どの章にどのような内容が記載されているかをざっくりと把握することが重要になります。
当該教材を用いた勉強はこの点からもとても役に立ったと感じています。

また、MPEPの2100章はPatentabilityに関する事項でボリュームが多い章でしたが、日頃の業務で目にする機会も多かったことから、この章の勉強にあまり多くの時間を費やす必要がなかったことは良かったと感じています。

(3) MPEP (Manual of Patent Examining Procedure)
本番の試験では、MPEPのPDF版を参照可能です。
本番を想定して、MPEPのPDF版を参照することを意識的に行いました。
MPEPの情報量は膨大であることから、一から順を追って読んでいくのは現実的ではないと考え、上記(1)及び(2)の教材と組み合わせて、必要に応じて参照するという使い方をしました。

上記の通り、試験勉強を行いましたが、その際に特に感じたことは、英語に慣れることの重要性です。
試験時間は午前3時間、午後3時間の合計6時間の長丁場です。6時間、英語の文章を読んで解答するということはかなりハードです。
勉強始めの頃はMPEPや教材と1時間半も向き合うと集中力が切れてしまうという状況だったことから、上記(2)及び(3)の教材を駆使して、とにかく英語に慣れることを優先的に行いました。

勉強を始めて数週間後には英語を長時間読むことにも慣れてきたという実感がありました。
そして、上記(2)の教材を一通り読み終えた段階で試験に臨みました。
当日の試験の様子については、弊社の過去記事に詳細な記載がありますので、そちらをご参照下さい。

私は、可能な限りMPEPには頼らず、1問3分で解いていくことを目標にして試験に臨みましたが、緊張感なども相まってなかなか思い通りに進めることはできませんでした。
実際には、午前・午後ともに試験終了の2~3分前に全ての問題を解き終えたという状況でしたし、MPEPを検索したのは全体の20-25%程でした。それでも集中力を切らすことなく全ての問題に向き合えたこともあり、無事合格することができました。
試験終了後のアンケート回答後に、試験結果が表示された際に「Passed」の文字を見たときは嬉しさを感じるとともにとても安堵しました。

また、試験当日のコンディションには特に気を使いました。
何時に起きて、朝食は何を食べて、昼食はどこで何を食べるかということを事前に考えた上で、その通り行動するように心がけました。
特に昼食のリフレッシュタイムは一つの重要なポイントになるかと思いますので、これからPatent Bar試験受験をお考えの方はこの点も事前に考えておくとよいかと思います。
私は持参した白米と海苔を近くの公園(Farragut Square)で食べた後に、公園を軽く散歩してから午後の試験に臨みました。
あいにくその日は小雨が降っていたため傘を差しながら昼食を食べることになったのは予定外でしたが、いいリフレッシュにはなりました。

簡単ではありますが以上が私のPatent Bar試験体験記です。この報告が、これからPatent Bar試験を受験する方への一助となれば幸いです。

普段何気なく利用している最寄り駅。試験勉強に疲れた時はこの景観に癒されていました。

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