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2021.06.09

商標部:関口

【商標ニュース】カナダ、審査促進のための新プラクティスを発表

2019年の法改正以来、国際商品分類の採用等から、カナダでは、商標出願の審査負荷が増え、審査の遅延が常態化しています。現在は、出願から審査まで30ヵ月を超えることもあり、この状況を打破するための施策が2021年5月3日に公表されました。

1.審査のタイムライン改善のための施策

・商品・役務記述に関するオフィスアクションにおいて、これまでは、審査官による補正案が提示されることが一般的でしたが、今後は、なくなります。但し、出願人が提出した補正案に対して、より適切な補正案を、セカンドアクションとして提示することはあります。

・カナダ知的財産局が公開している、過去に認可された商品・役務リストからのみセレクトされた商品・役務を指定した出願は、より早く審査が進められます。

・審査官が最終拒絶を発する運用が始まります。審査官は、オフィスアクションに対する出願人からの回答につき、最低1回の審査のみが求められ、応答を重ねても認可には至らないと判断すれば、最終拒絶の査定を発することができます。このため、出願人には、1回目のアクション回答において、主張、反論のすべてを盛り込むことが望まれます。最終拒絶となった出願を更に争うには、連邦裁判所へのアピールが必要です。

2.早期審査制度の導入

長らく議論されていた早期審査制度ですが、昨年来のコロナ禍において、ごく限られた対象の出願(コロナウィルス予防・治療用薬剤の商標)に初めて認められました。そして、今般、下記の条件を満たす商標の出願においても、新たに早期審査が認められることになりました。

・訴訟中または、訴訟に係る虞がある商標
・模倣品の水際対策を実施中の商標
・オンライン市場で不利益を被っており、登録が急務の商標
・他国官庁から、出願商標の優先権を示す証拠として求められ、期限が設定されている場合

早期審査にかかる庁費用はありませんが、理由を述べた宣誓書の提出が必要であり、「早期審査を認めるかの審査」が、まず行われます。条件が限定されていますので、広く活用できる制度とは、まだ言えないようです。

カナダ知的財産局通達
http://synergis.ic.gc.ca/t/1138383/2294107/7921/81/
https://www.ic.gc.ca/eic/site/cipointernet-internetopic.nsf/eng/wr04946.html

情報提供:Smart & Biggar 事務所 (CA)

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