- 判決事例
- 中南米
2021.07.19
特許第2部:峰岸 真紀
ブラジル知的財産庁は、2021年6月22日付官報において、特許権の存続期間の延長(特許付与日から10年)が遡及的に失効する特許権の再考申請について告示しました。
既報の通り、ブラジル最高裁判所は、ブラジル産業財産法第40条補項「特許権存続期間は、特許付与日から起算して、特許権(発明特許)の場合は10年未満であってはならない」は違憲であると判決しました。
この判決により、第40条補項に基づく存続期間の延長が認められている特許権であって、その主題が医薬品および医薬的な方法、および健康目的で使用される機器および/または素材に関する特許権(以下、「医薬品および医療機器等に関する特許権」と略記)については、第40条補項に基づく存続期間の延長は遡及的に失効し、存続期間は出願日から20年となります。
医薬品および医療機器等に関する特許権は、以下の基準に基づき特定されます。対象の特許権は、官報への掲載および存続期間が変更された特許証の再発行により通知されます。
1. 事前承認を得るためにブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)に送られた特許権
2. 国際特許分類(IPC)が A61B, A61C, A61D, A61F, A61G, A61H, A61J, A61L, A61M, A61Nまたは H05Gである(世界知的所有権機関 (WIPO)により医薬品に関連する技術とされている)特許権
3. IPC分類が A61K/6, C12Q/1, G01N/33またはG16Hである特許権
4. 判決が code 19.1 で公表された特許権
5. 追加証明書
今回発行された2021年6月22日付官報において、ブラジル知的財産庁は、存続期間の変更が公表されてから60日以内に、特許権者はブラジル知的財産庁に対して再考申請ができると通知しました(code 16.3)。この「公表」とは、官報への掲載を意味するようです。上記5つの基準に該当する特許権の中には、医薬品および医療機器等に関する特許権以外も含まれてしまう可能性があるため、このような手続きが設定されたと考えられます。
再考申請をする場合、特許権者はブラジル知的財産庁に嘆願書を提出し、存続期間の変更が行われるべきではなかった理由を明記する必要があります。理由が適切であると判断される場合、存続期間は元の期間、すなわち特許付与日から10年に再変更されます。理由が適切でないと判断される場合、存続期間の短縮は維持され、申請の却下は官報で通知されます。申請の却下に対しては、不服申し立てが可能です。
(参考)
・情報源
ブラジル知的財産庁による通知(2021年6月22日付)
http://revistas.inpi.gov.br/pdf/Comunicados2633.pdf