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2021.08.04

特許第1部 新崎 智章

【特許・意匠ニュース】優先権主張期間に関する欧州一般裁判所判決、PCT特許出願を優先権主張した欧州共同体意匠出願の場合、優先権主張期間は1年

欧州一般裁判所(以下、GCEU)は、PCT特許出願を優先権主張した欧州共同体意匠出願に対する優先権主張期間は、1年であると判決しました。 (The KaiKai Company Jaeger Wichmann GbR v. EUIPO, General Court of EU, 4/14/2021)

ドイツの The KaiKai Company Jaeger Wichmann GbR (以下、KaiKai社)は、出願日2017年10月26日のPCT特許出願PCT/EP2017/077469に基づく優先権を主張した欧州共同体意匠出願5807179-0001号~5807179-0012号を2018年10月24日に出願していました。

欧州連合知的財産庁(以下、EUIPO)の審査部及び審判部は、共同体意匠規則No.6/2002の第41条において、「パリ条約または世界貿易機関を設立する協定の締約国において、意匠権または実用新案の出願をした者またはその承継人は、同一の意匠または実用新案に関する共同体意匠の出願をする場合、最初の出願の出願日から6か月の優先権を享受する」とあることから、6か月を超えた優先権主張は認められないと判断していました。

KaiKai社は、パリ条約第4条Cにおいて、「特許について優先期間は12か月」とあることを根拠とし、6か月を超えた優先権主張は認められないというEUIPOの判断は誤りであると主張していました。

GCEUは、共同体意匠規則には特許に基づく優先権主張を想定した具体的な規定はなく、パリ条約がこの部分をカバーすると判断し、PCT特許出願に基づく優先権主張に適用される期間が6か月としたEUIPOの判断は誤りであるとし、KaiKai社の主張を認めました。

なお、GCEUは第一審の裁判所にあたることから、今後、欧州連合司法裁判所(CJEU)への控訴の可能性があります。

(参考)
・判決(フランス語)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/en/ALL/?uri=CELEX:62019TJ0579

・UNGRIA事務所(スペイン)ニュースレター
https://www.ungria.es/newsPDFs/en_00000051.pdf

・Società Italiana Brevetti事務所(イタリア)ニュース
https://www.sib.it/en/flash-news/community-design-claiming-patent-priority-kaikai/

・J A Kemp事務所(イギリス)ニュース
https://jakemp.com/en/news/eu-court-rules-community-registered-designs-may-claim-priority-to-a-pct-application-within-12-months

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