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2006.01.15
IPXL Holdings, L.L.C.(以下、「IPXL」)は、ATM機やPOSターミナルのような電子金融取引を実行するシステムに関する米国特許第6,149,055号(以下、「’055特許」)を所有している。’055特許のシステムは、事前にユーザーが定義した情報を保存し、ユーザーに対し単一の画面上において当該情報を表示し、その画面からユーザーが取引を選択できることにより、より少ない手続きによりユーザーが金融取引を実行できることが主たる特徴である。
Amazon.com Inc.(以下、「Amazon」)は、インターネット上において、商品注文のためのワンクリックシステムを使用しており、顧客は、ワンクリックシステムにより、Amazon.comのホームページからオンラインで商品を購入することができる。クレジットカード番号や商品配送先の住所等の情報を既に保存した顧客は、ワンクリックシステムにより、再びこのような情報を入力しなくても発注することができる。Amazonのワンクリックシステムを使用した各発注情報は90分間保存され、その間は注文の変更および取消しが可能であり、90分後にシステムに残った発注情報が確定することになる。発注情報が確定し、商品が発送されれば、Amazonはユーザーのクレジットカードから代金支払いを要求する。
IPXLは、バージニア州東部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起し、AmazonのワンクリックシステムがIPXL の’055特許を侵害していると主張した。
地裁は、略式判決により、Amazonのワンクリックシステムは、’055特許の電子金融取引(“electronic financial transaction”)」、「保存された取引情報(“stored transaction information”)」および「単一の画面(“single screen”)」という限定事項を充足していないと判断し、さらに’055特許は、特許法第102条に基づき、先行技術である米国特許第5,389,773号により新規性が認められず、無効であると判断した。また、地裁は、略式判決により、’055特許のクレーム25は、システムと当該システムの使用方法の両方をクレームしているため、不明確であり、特許法第112条に基づき、無効であると判断し、本件は「例外的な」ケースであるとして、地裁は、特許法第285条に基づき、IPXLに対し総額1,674,645.82ドルの弁護士費用の支払いを命じた。
これに対し、IPXLは控訴した。
一部確認、一部破棄・差戻し
判旨
(1)新規性
特許法第102条により、クレームは、限定事項のいずれかが先行技術により明示的または黙示的に開示されている場合、新規性が認められない。Bristol-Myers Squibb Co. v. Ben Venue Labs, Inc.事件(246 F.3d 1368, 1343 (Fed. Cir. 2001))参照。審査経過において、IPXL は、先行技術である米国特許第5,389,773号(以下、「Coutts特許」)は、「単一の画面(“single screen”)において取引情報を表示する」システムを開示していないと主張し、特許審査官は’055特許を付与した。しかし、地裁は、略式判決において、Coutts特許が’055特許のクレームの限定事項を開示しているか否かは真正な論点ではないと判断した上で、’055特許には新規性が認められず無効であると判断した。控訴審において、IPXLは、「単一の画面」という限定事項に関する判断のみを争っている。
(・・・以下略)
*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。