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2006.03.09
今回のご質問は:
イタリア特許庁費用が無料になったって、本当ですか?
「特許、実用新案及び意匠について、出願費用及び年金を含む全ての特許庁費用を撤廃するという2006年会計法案が、2005年12月22日に議会を通過した。その結果、2006年1月1日以降、それら特許庁費用は納付不要となった」と、複数のイタリア代理人が報告しています(商標、新植物品種及び特許年金SPCについては、引続き従来どおりの費用納付が必要です)。
しかしながら、同時に、この決定に対する批判が関係各方面や議会内部から出ていることも、併せて報告されています。特にヨーロッパ特許出願経由のイタリア特許に関しては、相応の“上納金”をヨーロッパ特許庁に対して支払う必要があるため、“私企業や個人、特に外国企業が特許を維持する費用を、イタリア財政で負担するのはおかしい”との批判が強い様です。
それゆえ、この決定も近々見直しがなされるだろうとの見方も強く、Societa Italiana Brevetti 事務所は「春の総選挙後の新政権がこの問題の見直しを行い、少なくとも一部費用(特に年金)の納付が再び義務付けられる可能性がある」と述べています。また、Barzano & Zanardo 事務所も「数ヶ月後に費用納付が再導入された場合に、その間に費用を納めていなかった案件について、どの様な問題が発生するのか、また、どの様な措置が設けられるか、については現在では予見出来ない」と注意を喚起しています。案件毎の具体的な対応については、出願のご依頼先や年金管理の委託先である、代理人や専門機関の見解に沿って、慎重に対処する必要がありそうです。
ちなみに、ドイツ在住のあるヨーロッパ特許弁護士は、このニュースに困惑している様を、自らのブログに、こう綴っています。
2006年1月5日木曜日: イタリア特許庁が Official Fee を放棄??
“イタリア議会の決議により、2006年は特許、実用新案及び意匠の出願・維持に要する全ての特許庁費用が撤廃される”というニュースを幾つか読んだ。全く信じられない話にも思えるが、これらの情報は、いずれも信用出来る筋から得たものである。しかしwebをどう探してもこの情報の裏をとることが出来ず、また、この企ての政治的背景も理解することが出来ない。このブログの読者の中に、イタリアの現状を明らかに出来る様な、もっと正確な情報をお持ちの方は、おられないだろうか?
(渉外部 柏原)