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2006.08.10
今回のご質問は:
アメリカ特許庁が、特許出願のクレーム数を制限する等のルール改正を予定しているらしいと噂に聞きました。詳細を教えて下さい。(その3)
アメリカ特許庁は、Proposed Rule Changes to Focus the Patent Process in the 21st Century と称するプロジェクトの下、審査促進・滞貨解消を目的とした3つのルール改正の提案を行っていました。
1. Claims Practice (1月3日公示/5月9日付で紹介)
2. Continuation Practice (1月3日公示/5月9日付で紹介)
3. Accelerated Examination (6月26日公示/7月10日付で紹介)
これに続き、第4のルール改正案として7月10日付けで登場したのが、この”IDS Practice”です。
Changes To Information Disclosure Statement Requirements and Other
Related Matters (10 July 2006) ; Executive Summary ; Detailed Summary
“IDS Practice”を導入する理由として、特許庁は次の様に述べています。
審査を助けるよりも、むしろ遅らせる様なIDSがしばしば提出されている。例えばある出願人は非常に数多くの文献を、それらを提出する理由を明示せずに提出してくる。ある時は、長大な文献が、発明に関連する部位を特定することなく提出される。また重要な情報が機を逸して提出されるため、審査官の検討対象とならないことも、しばしばある。
この様な状況下では、審査官が限られた時間の中で最も重要な情報はどれかを適格に選び出し、審査に有効に活用することは難しい。
本ルール改正は、適切な情報の早期提出を促し、重要でない情報の提供を抑えることを目的とする。これにより審査官は、発明に直接関係のない文献や、すでに提出されている他文献と情報が「ダブる」文献を目にする必要がなくなる。
本ルール改正案では上記目的を果たすため、出願から特許証発行に至るまでの係属期間を4つのステージに分け、各ステージごとに、文献の性質に応じた”additional disclosure requirements” (追加的開示要件)が定められています。またステージが進むほどに要求される”additional disclosure requirements”は厳しくなっていき、文献の提出により強い制限が加わる様になっています。
例えば条件が一番緩やかな第1期(出願から3ヶ月以内/指令書の発行前)においてでさえ、25頁を超えるボリュームの文献や英語以外の言語で書かれた文献について、また、合計で20件を超える文献を提出する場合には全ての文献について、 “explanation” の提出が必要となります。この “explanation” では、文献のどこにどんな情報が教示されているかを明示した上、その教示されている情報と対応するクレーム文言との相関関係を説明しなければなりません。
意匠・商標NEWSでも、米国意匠「2006年7月10日 情報開示義務(IDS)改正案と意見聴取」を取り上げていますので、こちらも併せてご参照下さいませ。
(渉外部 柏原)