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2007.06.15
オンラインデータベースの提供に係る指定役務に記述された一般的普通名称の用語が、登録出願に係る文字標章中に含まれるため、その用語を指定役務から削除しても、補正後の指定役務が争点の用語と不可分の場合であって、出願人が運営するウェブサイトを実質的証拠として、関連する公衆の理解する本質を審理した結果、争点用語と指定役務が分離できず不可分である以上、識別力がなく登録は拒絶される。(In re Reed Elsevier Properties Inc., CAFC, 4/12/07)
Reed Elsevier Properties Inc.(以下、Reed)は、その標章、LAWYERS.COMを登録出願し、オンラインによる双方向のデーターベースを提供して、司法分野の情報交換、司法ニュース、司法サービスを主な項目とする役務を指定した。米国特許商標庁(以下、PTO)商標審判部は、その登録を拒絶した。
Reedは、そのMartindale-Hubbell部門によって、ウェブサイトwww.lawyers.comを運営しており、そのホームページに目立つように、リンクと双方向の特集記事を掲示して、ユーザーが、「法律家をさがす(find a lawyer)」、「法律家を頼む(ask a lawyer)」、「法律家に相談する(contact a lawyer)」、「法律情報の調査(research legal information)」といった頁を利用できるようにしている。「法律情報の調査(research legal information)」の頁には、「本当に法律家が必要かな?(do I really need a lawyer?)」、「法律家を選択(selecting a lawyer)」、「法律家と依頼者双方の責務(lawyers’ and clients’ responsibilities to each other)」といった項目にリンクがある。ユーザーが法律家を探し相談することを支援するこれらの特徴に加えて、そのウェブサイトは、「司法ニュース・主な項目(legal news headlines)」、司法実務の分野に関する基本情報、ユーザーが司法問題の質問・回答をすることができるコミュニティ掲示板を提供している。
Reedが最初にその標章を商業上使用したのは、1998年7月30日であり、その後まもなく、登録出願して、LAWYERS.COMについて一般的な文字形式で第42類の役務に関して、すなわち、「法律、法律家、司法ニュース、および司法サービスの分野における情報交換を特徴とするオンライン双方向データベースへのアクセスの提供」と指定した。願番は、第75530795号である。Reedの標章が、識別力を有するに到ることを証明するのを目的とする証拠を審査した後、審査官は、LAWYERS.COMが、一般的普通名称であって登録できないという根拠により、登録の拒絶理由を通知した。Reedは、応答して、その出願から「lawyer」の語を削除し、補助登録簿に登録するよう求めた。さらなる審査の後、審査官は、一般的普通名称であるとの理由による拒絶査定を発した。
Reedは、商標審判部に審判請求したが、審判部は、審査官の拒絶査定を確認した。審判部の認定によると、指定役務の属は、「法律、司法ニュースおよび司法サービスに関する特定のトピックを含み、また、その属に関して、重要でかつ切り離さすことができないように結びついている要素が、法律家についての情報と法律家からの情報を対象とする情報のデータベースに関するウェブサイト」であるとした。また、関連する公衆には、「法律情報を探している法律家、あるいは、依頼者が照会できるようするために他の法律家を探している法律家」が含まれ、また、「司法情報、司法上の代理人、または紹介依頼人を探している専門外の者」を含むとして、審判部は認定し、ゆえに、関連する公衆とは、「法律家へのアクセスと法律家に関する情報を提供する商業上のウェブサイトを識別する用語を容易に理解する」者であると判断した。さらに、「ある種の関連する公衆は、法律家と各々の専門分野、連絡先情報、およびそれに類するものを含む情報を提供するウェブサイトを想定する者である」と認定した。各役務の属を調和させて、Reedは、その標章を識別しようとし、その標章が想起させる役務について、関連する公衆による理解の性質を識別しようとしたが、審判部は、LAWYERS.COMが、一般的普通名称であると認定した。
Reedは、控訴した。連邦巡回控訴裁判所は、裁判所および裁判手続に関する法律第1295条(a)(4)(B)に基づき裁判管轄権を有する。
確認
判旨
ランハム法、15 U.S.C.第1052条(e)に基づき、PTOは、単に記述的でかつ出所を指定することができない標章を登録しない。標章が一般的普通名称であるか否かは、事実問題であり、当裁判所は、実質的証拠を審理する。In re Dial-A-Mattress Operating Corp.事件(240 F.3d 1341, 1344 (Fed. Cir. 2001))参照。
一般的普通名称に関する審理は、二段階テスト(two-part test)に基づいてなされる。すなわち、「最初に、何が、争点の商品または役務の属であるか。第二に、用語が登録されうるように出願されているか、・・・関連する公衆が、主に商品または役務の属を参照して理解するか」である。H. Marvin Ginn Corp. v. Int’l Ass’n of Fire Chiefs, Inc.事件(782 F.2d 987, 990 (Fed. Cir. 1986))参照。PTOは、標章が一般的普通名称であることを証明する責任を負う。In re The Am. Fertility Soc’y事件(188 F.3d 1341, 1345 (Fed. Cir. 1999))参照。その際、適格ないかなる情報源も、関連する公衆による争点用語の理解についての証明能力を有し、購入者の証言、消費者調査、辞書の定義、業界誌、新聞、およびその他の出版物を含む。In re Merrill Lynch, Pierce, Fenner & Smith, Inc.事件(828 F.2d 1567, 1570 (Fed. Cir. 1987))参照。上記の原則を考慮にいれて、LAWYERS.COMが、Reedによる出願において指定される役務に関しては、一般的普通名称であることは、十分に明白である。
(…… 以下略)
*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。