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2008.03.15

15 U.S.C. § 1114(1)/登録指定商品・役務の範囲外にある被疑侵害の認定

商標の連邦登録は、指定商品のみに関して保護された権益の一応有利な証拠を構成する。連邦登録の保持を示すことによって、自己の標章に関するその権利を確立したことになる。

他人による標章の使用が、自己の指定商品または役務と異なるものであっても、その登録指定商品または役務と関連して、当該標章の所有者による使用と混同を生じる場合には、救済を求めることができる。

原告は、連邦登録のおかげで、登録指定商品または役務と関連する標章の有効性を証明する責任を果たしたことになる以上、被告による標章使用が指定商品または役務と異なる場合には、原告の保護された権益を侵害しているかは、混同のおそれの問題であって、原告は、混同のおそれを証明するか、または混同のおそれの分析に要求される要素を検討するために認められる証拠を提示しなければならない。
(Applied Information Sciences Corp. v. eBay, Inc., 9th. Cir., 12/28/07)

事実概要

Applied Information Sciences Corp.(以下、AIS)は、ある専門分野に特化したソフトウェアのベンダーである。1994年、AISは、商標「SmartSearch」の登録出願を行ない、1998年、米国特許商標庁は、AISに登録証を発行し、当該標章の使用をコンピュータソフトウェアおよびその使用説明書に関して、「computer software and instruction manuals sold together which allow the user to retrieve information from on-line services via phone line in the fields of agriculture and nutrition, books, chemistry, computers and electronics, education, law, medicine and biosciences, news, science and technology, social sciences and humanities」とした。AISの主張では、SmartSearch製品を1995年から2004年の間に販売した。

AISは、2000年、eBay, Inc.(以下、eBay)がSmartSearchの標章をAISの同意なく使用し始め、連邦商標およびカリフォルニア州の不正競争に関する法に違反していると申し立てた。eBayは、インターネットユーザにオンラインオークションのサービスを提供する商用ウェブサイトであり、SmartSearchの語をそのホームページ上のリンクとして表示した。このリンクをクリックすると、さらに進んだ検索オプションとともにユーザを別のページに誘う。2001年末、AISはeBayに通知し、ライセンス料を支払うか、またはその標章の使用をやめるかのいずれかを要求した。eBayは拒絶し、AISは、2004年、本件訴訟をカリフォルニア中部地区連邦地方裁判所に提起した。

両当事者が略式判決の申立てを行なった後、地裁はeBayの申立てを認め、その根拠について、AISが当該標章に関する有効に保護された権益を有していないとした。地裁は、その後、AISに対する$8,971.31の費用を裁定したが、eBayによる弁護士費用の申立てに関しては、事件が例外的ではないと判断して否定した。AISは略式判決の認定に控訴し、eBayは弁護士費用の否定に控訴した。

確認

判旨

地裁による略式判決の認定を新たに審理し、証拠を審理する際、AISに最大限有利に考慮して、当裁判所は以下の通り判断する。すなわち、AISは、SmartSearch標章に関する有効な保護を受けうる権益を有することについて証明する責任を果たしているが、混同のおそれを証明しているといえる証拠を提示していない。Talking Rain Beverage Co., Inc. v. South Beach Beverage Co.事件(349 F.3d 601, 602 (9th Cir. 2003))参照。この理由により、当裁判所は、eBayに有利な地裁の略式判決の認定を確認する。

本件商標侵害請求を認定させるには、AISは、以下の点を証明しなければならない。(1) 有効な保護を受けうる商標を有すること、および(2) eBayによる当該標章の使用が混同を生じさせる可能性があること。Brookfield Commc’ns, Inc. v. W. Coast Entm’t Corp.事件(174 F.3d 1036, 1047, 1053 (9th Cir. 1999))参照。商標侵害訴訟における閾値の争点は、自身の製品に関して製造者により使用される単語が、保護に値するか否かである。Transgo, Inc. v. Ajac Transmission Parts Corp.事件(768 F.2d 1001, 1014 (9th Cir. 1985))参照。AISが保護を受けうる権益を有することを証明する方法は、次の三点である。(1) 商品または役務に連邦上登録された標章を有すること、(2) その標章が記述的であっても市場において二次的な意味を獲得していること、または(3) 本質的に識別力があり保護されるものであることを示唆する標章を有すること。AISは、その連邦登録のみによって、SmartSearch標章に関するその権利を確立したと主張している。当裁判所はこれに同意する。

(・・・・・・以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

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