- 知財情報
- アーカイブ
2008.12.10
表1に2000年と2006年における国別特許・実用新案ランキングを示す。
特許では、2000年においても既に日本・米国や韓国・EPに続いて5位であったが、2006年には2000年と比べて約3倍の21万件まで出願件数が増加し、米国・日本に続く3位の特許出願大国となった。
図示していないが、さらに注目すべきは2000年では外国人出願の比率が50%以上であったが、2006年には内国人からの特許出願が21万件中約12万件と逆転していることである。中国企業・機関が積極的に特許出願を行い、製品・サービスを知的財産面から保護しようとする姿勢が強くなっていることが背景にあると思われる。
実用新案を見ると、2000年時点ですでに2位の韓国を大きく引き離しているが、2006年にはさらに出願件数が伸びて唯一の10万件台の出願件数を誇っている。中国実用新案は無審査であり、そのほとんどが内国人からの出願である(外国人からの中国実用新案出願は1%に満たない)。
図1に中国の特許・実用新案件数の推移を示す。
中国特許出願件数は直近2007年で24.5万件であり、2006年からさらに10%強の増加となっている。高い経済成長率を背景に、今後も増加傾向は継続し、日本・米国の出願件数に迫るものと予想される。中国実用新案出願も増加傾向に陰りは見えず、ますます増加していくものと予想される。
上述の通り、中国実用新案は無審査であるため早期権利化が可能である。この無審査登録実用新案をめぐる事件として、チン対シュナイダー事件(Chint v. Schneider)がある。中国地場メーカーのChint Electricが欧州大手メーカーのSchneider Electricを訴え、2007年9月の判決ではSchneider Electric側に4500万ドルの高額な損害賠償を支払う判決が出ている(現在まだ係争中である)。本事件は、増加する中国特許出願だけではなく、無審査登録の実用新案出願の動向にも留意する必要があることを示唆していると言える。
(IP総研 [IPアーキテクト] 主任研究員 野崎篤志)