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2009.02.04
今回は約13億人の巨大マーケット獲得を目的とした海外企業からの進出状況を、海外からの中国特許出願から見ていく。
図1に中国特許出願の内国人(中国企業・中国研究機関など)・外国人(日米欧企業・研究機関など)出願件数比率推移を示す。
1995~1997年を見ると内国人・外国人の比率がほぼ50%で拮抗していたが、1998年になると外国人出願件数比率が増加し約70%を占めるに至っている。特許出願状況から判断すると、海外企業の本格的な中国進出は1998年と言うことができよう。当然のことながら、1998年時点における将来の中国のWTO加盟も念頭に置いていたと思われる。
図2に外国からの特許出願状況について、外国人出願比率が高まる直前である1997年の出願件数と直近2006年の出願件数の比較、およびその増加率について示す。
中国特許の外国人出願のうち、日本からの出願が最も多い。図示していないが2006年時点で特許出願全体の16%(21万件中3.2万件)を占め、外国人出願では37%(外国人出願8.8万件中3.2万件)を占めている。1997年から2006年の増加率では約500%、つまり出願件数は5倍の規模に拡大している。
その他の外国人出願では米国や韓国といった国から中国への特許出願も大幅に増加しているが、より顕著な増加傾向を示しているのがオランダ(NL)・スウェーデン(SE)である。
オランダからはフィリップスやユニリーバなどが出願件数を増加しており、特にフィリップスの増加傾向は顕著である。
スウェーデンからはエリクソンやABB、アストラゼネカ(本社はイギリスだが、医薬品(旧アストラ)からの出願はスウェーデン国籍)、ボルボといった企業が中国への特許出願を加速している。
日本企業の対応としては、急激に成長している中国国内メーカーの出願動向を注視すると同時に、中国マーケットへの展開を図っている外国競合企業の出願動向も合わせて監視する必要があると言える。
(IP総研 [IPアーキテクト] 主任研究員 野崎篤志)