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2009.04.01

【未分類特許の紹介】(1)

未分類特許の紹介
みなさんは、未分類特許というのをご存じだろうか。特許公報に必ず存在するはずのIPC(特許分類)が付与されていない特許公報の事である。通常の特許調査では、IPCやFI、Fタームといった特許分類を使用することが一般的であるが、特許調査に特許分類を使用した瞬間に、これら未分類特許を目にする機会は永遠に失われてしまう。まさに公開特許制度の「影」の存在と言えよう。あまり知られてはいないが、2004年1月1日から、2008年12月31日の直近5年間に公開された未分類公開特許公報は、全部で134件であった。1年間当たり、約27件平均である。これまで影の存在として見過ごされてきたこれら未分類特許、特に直近5年の134件について、その知られざる内容を何回かに分けて紹介していきたい。

直近5年間の未分類特許公報134件中、何とその半数以上の70件が、同一人物による出願であった。その出願人こそ、K氏である。K氏は、未分類特許以外の発明も多数出願しており、その内容から推察する限りでは熱心な個人発明家であることが伺える。K氏の未分類特許の特徴は、物理分野で我が国が最も得意とする素粒子に関連したものが大多数を占めるという点である。独自の着眼点から、次元の異なる様々な物理法則や物理定数を組み合わせ、あらたな法則や定理を導き出しているものが多い。その例として、特開2006-81386号のフロントページに記載された解決手段を原文のまま以下に紹介する。

【解決手段】核磁気モーメントがAの場合、1mの軌道に於いて、1秒間の磁気の光子の運動量=5.05×10-35J×A×1mです。1秒間にできる磁気の光子のエネルギー=ラブの質量×8×10-7×秒速÷3.14です。ラブが1自転してできる磁気の光子1個のエネルギー=5.05×10-35J×A×1m÷秒速×3.14です。自転軌道=5.05×10-35J×A×1m÷(ラブの質量×8×10-7×秒速÷3.14)です。これらの式から求める事ができる。中性子において、陽子のラブの公転軌道と電子のラブの公転軌道は、YbやHfやHgの+Aと-Aから求められる。(原文のまま掲載)

文中、何度も出てくる「ラブ」は、K氏の素粒子関連出願でよく見かけるものではあるが、K氏の多数の公開公報を読んでも、結局これがいったい何を指すものなのかは、ついに判明しなかった。K氏の中では、もはや「ラブ」は説明すら不要のもの、万人が知っていて当然の常識的なものであろうが、やはりもう少し詳細な説明が期待されるところである。

さらに、K氏の公開公報には、シリーズ化されているものが多い。「素粒子」シリーズ(本編全6件と外伝3件)、「中性子と素粒子」シリーズ(全4件)と続き、最近は「宇宙」シリーズとなっている。K氏は、特開2007-259699(2007/04/18出願)でシリーズ最初の「宇宙」を発表しているが、1ヶ月以内に「宇宙2」を特開2007-274897(2007/10/18出願)で発表し、その後わずか1年2ヶ月という短期間に、「宇宙9」(特開2008-312441(2008/07/04出願))までを発表している。しかも、この期間内には、「宇宙」シリーズ以外に、「熱と引力と地球の引力」といった、従来からの「物理法則組み合わせ」発明も出願している。ちなみに、K氏の「物理法則組み合わせ」発明のタイトルは、3つの異なるものを組み合わせたものが多い。

さて、K氏の「宇宙」シリーズには1つの謎が存在する。K氏の公開公報に「宇宙8」は存在せず、欠番となっているのである。「宇宙7」と「宇宙9」の間に、「落下速度と宇宙と熱」という、やはり語感を意識した3つの組み合わせ出願が存在し、これが実質「宇宙8」ではないかとも考えられるが、単にK氏の数え間違いだけなのかもしれない。尚、「宇宙」シリーズの最新号は、特開2009-33965(2009/02/12公開)で発表された「宇宙11」で、このシリーズはまだまだ続きそうである。

(IP総研 技術グループ 主任研究員 吉田秀一)

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