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2009.07.15

【企業特許分析】~インテレクチュアル・ベンチャーズ(Intellectual Ventures)~

最近、休眠特許や特許権の売買について注目が集まっている。本稿では注目企業としてインテレクチュアル・ベンチャーズ社(Intellectual Ventures:以下IV社)に焦点を当て、特許出願傾向と日本で公開されている特許について分析を行った。

【関連記事】
日経ものづくり2009年7月号 p.40-43 [特集]特許の壁を壊せ“最強の「破壊者」現る”
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20090626/172275/

日刊工業新聞 Business Line “インテレクチュアル・ベンチャーズ、アジア全域で世界一流の発明チーム構築へ”
http://www.nikkan.co.jp/newrls/rls1001i-02.html

IV社は2002年にマイクロソフト社出身のNathan Myhrvold とEdward Jung, インテル社出身のPeter Detkin, Perkins-Coie法律事務所出身のGregory Gorderにより設立された技術開発と特許買収を行う米国の企業である。しかし、買収で得た特許と独自で開発した発明の特許それぞれの詳しい件数は公開されていないため不明である。また登録もIV社名義だけではなく、IV社と同一の住所であるSearete LLC等となっている。本稿ではIV社とSearete LLCの特許をIV社の特許としてデータベースDWPIで分析を行った。

まず公開件数推移を見ると、2005年頃から公開され始め、2006年から2007年にかけての米国と国際公開の増加が著しいことがわかる(図1左)。また、国別公開件数ではそのうち米国で公開されているものは784件と大半を占める。続いてWOとEPが続き、日本での公開は11件にとどまっている(図1右およびPDFファイル参照)。このうち、Searete(シーリート、シーレーテ)以外の3件については、IV社の名義になってはいないが、特表2001-523068の米国対応特許であるUS6,272,127はIV社名義となっている。これを含むエンロン社の2件はどちらともCorps of Discovery Patent Holding LLC名義となっており、その住所からIV社との関係が伺われる。一方、エルジー社の特許は日本では名義変更されていない。

続いて、これら特許のIPC分類を行った(図2)。最も多いのはG06Fの電気的デジタルデータ処理であり、この分類が付与された特許は全体の約3割を占めている。この他にもデータの認識や表示、伝送といった分野が多く含まれている。更に医療関連のIPCも多く含まれていることがわかる。日本で公開されている11件の特許についてもデータ処理・認識・情報に関するものと医療関係のものが多いことがわかる。

日本での公開特許数はまだ少ないものの、公開件数推移等から今後の増加が予想され、その動向が注目される。
(IP総研 技術グループ 研究員 鈴木禎嗣・本田竜一)

図1. 公開件数推移(左)と公開国別公開件数(右)
図2. IPC付与率(上)および分類説明(下)
(参考)
・日本で公開されているIV社の特許リスト
/assets/oldposts/pdf4a5fce3cbcd7f.pdf

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