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2009.07.29
1984年12月19日 パリ条約加盟(1985年3月19日効力発生)
1996年6月17日 ロカルノ協定加盟(1996年9月19日効力発生)
次に出願に関する項目を記載する。
「創作者、または承継人」を出願人とすることができ、方式審査のみで登録となり、権利期間は出願日起算で最高10年となっている。
さて、下記に示した図1は、1997年~2008年の内国人・外国人別の意匠出願件数推移である。
この図を見ると、内国人・外国人の割合は一目瞭然である。まず外国人の出願について読み取ると、1997年に3,000件程度であった出願件数が、2008年では約15,000件となっており、5倍ほどの増加を示している。外国人の出願件数が約15,000件という数字も凄いのだが、内国人の出願件数の物凄さに霞んでしまっている。内国人の出願件数は1997年時点で既に約30,000件、2008年には約300,000件となっており、各年において出願総数の90%以上を内国人が占める結果となっている。
図2は中国国内における外国人出願の上位5カ国の1997年と2008年の出願件数、及びその増加率を示したものである。
中国における、外国人出願件数が最も多い国は日本である。1997年に1,400件、2008年には約5,000件となり、増加率は300%以上となっている。韓国は顕著な増加率を示しており、1997年には100件程度の出願件数で全体の5番目であったが、2008年には約1,200件で全体の4番目となり、順位を1つ上げただけであるが、増加率は約1100%で、実に11倍以上の出願件数増加となっている。また、他の3カ国についても、約400%から900%の増加率となっており、これらの国は、今後も中国での出願を継続し、且つ出願件数も増加傾向を辿っていくと考えられる。
最後に、中国では改正特許法が本年10月1日から施行されるが、改正された中で意匠に対して、影響を与えそうなものがいくつかある。その中でも、特に重要だと思われるのが、相対新規性基準から絶対新規性基準への改正である。詳細は以前の記事に解説があるので、ご参照頂きたい。
今回示した出願件数推移を見ても分かる通り、中国国内では、内国人の出願件数が増加の一途を辿り、今後も増加すると推測される。この傾向に対して、中国のある代理人は「知的財産に対する意識の向上によるものと考えられる」と話していたが、日本や米国などでは、「内国人による冒認出願が多いため出願件数が多いのではないか」という意見もある。
今回の絶対新規性基準の採用によって、そのような出願(冒認出願など)は減少すると考えられるため、もし内国人の出願件数が現在と同様に推移するか、増加傾向を見せるようであれば、内国人の知的財産に対する意識の向上と言えるかもしれない。だが、内国人の出願件数が減少傾向を示すこととなれば、今までの内国人による出願はどう捉えることができるであろうか。
これらを判断するためにも、今後も注意深く出願動向を監視していく必要があると言える。
(IP総研 データソリューショングループ 研究員 新崎智章)