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2009.12.22

【大学動向分析】米国大学特許共同出願状況:2008年登録分

 米国において、1980年にバイ・ドール法が制定され、連邦政府の資金による研究成果がそれぞれの研究機関に属することが認められた。その結果、大学においてTLOの設置・運営が活発になり、知的財産権への意識が高まって大学による特許取得数は増加していった。

 本稿では、前回の日本の大学に関する報告と同様に、共同出願の動向から現在の米国の大学の特許出願傾向について考察する。

 図1は米国の大学による米国特許登録件数推移である。2003年以降2500件から3000件でわずかな変動はあるが、ほぼ横ばい傾向を示していることがわかる。

 図2は大学の単独出願および企業との共同出願、大学との共同出願割合の推移を表したものである。米国の大学出願における共同出願の割合は10%程度で、この傾向は近年ほぼ変わっていない。企業との共同出願が5%、他の大学との共同出願が5%となっている。日本の大学の日本特許出願における共同出願率が近年徐々に高まっており、50%を超えていることに比べると、全く逆の傾向を示していることが分かる。

 表1は2008年登録特許件数上位10大学を表したものであり、共願件数・率を表している。上位大学のばらつきは大きく、3.4%~22.2%を示している。

 図3は2008年登録分について、大学全出願、大学-企業共同出願それぞれの技術分野内訳(筆頭IPCメインクラス)を表したものである。大学全出願・共同出願ともに、医学や遺伝子、化学系と測定、電気系が上位を占める(約65%)。なお、共同出願ではこれら5分野で75%を占めており、大学全出願に比べ上位5分野への集中度合いが若干高い。

 共同出願割合が全体的に低いことから、米国の大学は企業を意識した出願というよりも大学毎の知的財産方針に基づき特許出願を進めていると考えられる。このことは特許取得数上位大学の共同出願割合のばらつきが大きいことにも表れている。

 バイ・ドール法の制定から30年が経ち、米国の大学の出願件数が横ばいになるなか、知的財産権に対する意識も成熟しており、各大学それぞれの出願戦略が明確になっていることが明らかとなった。

(IP総研 技術グループ 研究員 伊藤寿)

注)表1中の大学名の元表記は以下の通り
・ウィスコンシン大(Wisconsin Alumni Research Foudation)
・コーネル大(Cornell Research Foundation)

表1 : 2008年米国登録特許件数の上位10大学と共同出願件数/率
 
上) 図1 : 米国大学による国内登録特許件数推移
下) 図2 : 米国大学国内出願における共同出願割合推移
 
 
図3 :技術分野内訳(2008年登録分)

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