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2010.05.28

【創業50年の歩みを振り返る:NGB Best 10 topics】2.外国特許出願仲介業務に参入

おかげ様でNGBは2009年11月、創業50周年の節目を迎えることが出来ました。
これを記念し、NGBの役員やOBが、記憶に残る10大トピックを振り返ります。

NGB 10大トピックとは・・・
1.海外特許情報の輸入~英国ダウエント社との代理店契約
2.外国特許出願仲介業務に参入
3.大阪出張所の開設
4.霞が関ビルへの本社移転
5.アメリカ特許弁護士のNGB駐在
6.CPA社との業務提携~外国年金管理業務の発展
7.アジア・プロジェクトのスタート
8.米国特許侵害セミナー(模擬裁判)開催
9.日本ビジネス翻訳株式会社(NBT)の設立
10.北京駐在員事務所の開設

今月は第二弾として「外国特許出願仲介業務に参入」をご紹介します。

2.外国特許出願仲介業務に参入

 当時の関係者の話によれば、NGBが昭和40(1965)年より新規に外国特許出願仲介業務に参入した経緯は次の通りです。

 昭和39年後半頃かと思われますが、ある大手国内企業より「我が社は今後、海外進出・製品拡販のために外国特許をより多く取得しなければならない。NGBでも今後、外国特許出願を扱ってはどうだろうか?」との商談がありました。早速この提案を、当時の営業部課長が中心となって検討し、その結果、仲介業務として対応することで、この提案を受け入れる旨の回答を致しました。

 私が入社した時点で外国特許出願台帳にはすでに20数件の出願案件の記載があり、NGBの外国特許出願仲介の第1号は、昭和40年4月の米国特許出願だと記憶しております。新規業務でもあり、不明なことも数多くあり大変な苦労の連続でしたが、主として外国特許出願英文手引書などで調査し、海外代理人にも直接問い合わせて解決していました。創業者社長の西野は、この新規業務を商社的な観点から『コマーシャルベース』で拡販していこうとの基本方針を打ち出し、この先見性と行動力がその後のNGBの進展に大きく寄与しました。

【出願仲介業務の苦労・失敗談など】
 当時は、出願関係書類の手配・発注・納品・請求書発行などすべての業務を2名の担当者で処理。現在のようにパソコン・電子メール・FAXなどはなく、大変な苦労でした。

 その1:深夜の転倒……福島ビル(日本橋)時代(昭和40-42年ごろ)のある冬の真夜中のことでした。英文明細書を海外代理人に発送後に明細書の訂正が発生したため、TELEX用紙にその内容を書いて日本橋郵便局に持参し、発信を依頼しなければなりませんでした。TELEXを郵便局に持参するとき、路面が凍結していて転倒したことを覚えています。

 その2:電卓が欲しい!!  ……外国からのDebit Noteを日本円に換算し請求書を作成しなければなりません。中学卒業以来さわったことがない「そろばん」で換算するものですから、計算違いも度々発生し、経理部には大変迷惑をかけました。当時のカシオ製卓上電子計算機は約10万円もするので、総務部に申請するのですがなかなか買ってもらえませんでした。ようやく入手できたときは、思わずバンザイ!!  でした。

 その3:期限管理で苦労……出願仲介業務が進展するにつれて各種の期限管理事項が多く発生してきました。委任状・譲渡証の提出、優先権証明書の提出、審査請求、中間処理(アクション)の期限管理、年金納付等々。台帳やカードを利用してのマニュアルによる期限管理なので、本当に苦労の連続でした。現在のようにコンピュータ利用による、正確で安全なシステム構築や文書管理システムなどは夢のようです。

【米国シュグルー(Sughrue)特許法律事務所の特許弁護士がNGB常駐開始(昭和46年10月)】
 外国特許出願の重要な点の一つは、各国出願の基礎になる米国出願方式の英文明細書の作成にあります。西野の指示によりシュグルー特許法律事務所と交渉し、特許弁護士のNGB常駐に関する契約書の作成に携わりました。昭和46年から常駐をスタートさせ、最初の特許弁護士は化学分野のオレキシー(P. D. Olexy)氏でした。さらに、電気・機械分野の出願仲介依頼も増加してきたので、昭和50年には同事務所から電気・機械分野のメキシック(D. Mexic)氏が常駐することになりました。当時、この常駐システムは日本の特許業界でははじめての試みであり、画期的な業務体制強化策でした。

【最後に】
 外国特許出願仲介業務への新規参入は、その後の年金管理業務などを含めてNGBの大きな飛躍の礎となったことは間違いありません。現在のNGBの社員数は約350名で、昭和41年に私たち2名でスタートした部門も特許部8グループ・約100名の部員数に成長しております。
私のNGB在職42年間で特許部在籍は17年、外国特許出願仲介開始の数年間は困難・苦労の連続でしたが、絶えず『挑戦と改善』に取り組んだ時代であったと回想しております。

文・北出 勇(OB昭41入社)

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