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2010.08.25
ご質問:
先日、総務部宛に外国語の書簡が届き、巡りめぐって私ども知財部門に転送されてきました。
弊社の外国特許出願のタイトルや登録番号等と共に、安くない金額が外貨で記載されています。この特許に関してなにか請求されているようなのですが・・・?
これはいくつか可能性が考えられます。
内容によって放置しておいてよいもの、或いはしかるべき対応が必要なものがありますので、以下の例示をご参照の上で、応答の要否をご判断頂ければ幸いです。
1.特許名鑑への掲載勧誘
まず「御社の特許出願番号○○○を弊社発行の特許名鑑に掲載しませんか?」という勧誘書簡、いわゆる“紳士録商法”の可能性があります。詐欺との批判を受けてか最近では「弊社は政府とは無関係」「本状は請求書ではなく勧誘状」と明記がなされていますが、受取人からは依然として不信感を訴える声が多いようです。世界知的所有権機関(WIPO)はこうした登録サービスについて「WIPOとは全く無関係」「国際公開に際して別途の手数料は必要ない」と警告を発するとともに、新しい情報の提供を呼びかけています(以下参照)。
http://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/docs/warning.pdf
また下記WIPOのサイトは英語表記ですが、2002年8月から今年2010年8月に亘って報告がなされた28社の”ブラックリスト”を各社書簡サンプルと共に掲載していますので、疑わしい書簡がお手元に届いた際にはどうぞ照会してみて下さい。
http://www.wipo.int/pct/en/warning/pct_warning.htm
2.権限なき年金納付期限通知
出願代理人ではなく、登録後の年金管理を委託した専門機関でもない全くの第三者が「本件権利を維持したくば○月○日までにいくら送金せよ」と連絡してくるパターンです。日本国特許庁サイトは、国際商標登録に関するやはりWIPOの警告文を以下のように紹介していますので、このパターンはむしろ商標更新で多く使われる手かもしれません。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/kokusai/daisansya_seikyu.htm
ちなみに特許では、筆者はインドネシア案件のご相談を複数頂いた経験があります。
3.特許庁による年金未納通知
特許年金の納付期限を過ぎて納付がなされない場合、特許庁が「未納通知」或いは「失効(予告)通知」を権利者宛に発行する国がいくつかあります。かかる「通知」が現地出願代理人宛に発送されれば、やがて権利者の知財部門に転送されて問題はないのですが、中には本社の代表住所宛に直送される例もあります。特にフランス特許庁は直送することが多いようで、「フランス語が読めない」とのご相談は何回か頂いております。レターヘッドに INPI のロゴが記載されていればそれはフランス特許庁の略称ですので、そのままゴミ箱にポイ!は止めて下さいね。
「未納通知」「失効(予告)通知」は放棄を決定した案件に対して発行されるべきものですが、もし御社で放棄決定指示を出していない場合は、別の原因が考えられます。速やかに出願代理人/年金管理委託機関にお問合せ下さいますようお願いします。
以上
(渉外部 柏原)