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2010.09.16
当社は当カンファレンスへは出展していないが、中国における第1回の特許情報フェアの状況を確認するために訪問団を結成して視察してきた。本レポートでは第1回中国特許情報カンファレンスの視察結果について簡単に報告させていただく。
会場は中国・北京にある国家会議センター(CNCC: China National Convention Center)である。昨年秋に完成したばかりの新しい会議場である(写真1参照)。
※備考
なお、国家会議センターの近くには北京国際会議センター(BICC: Beijing International Convention Center)があり、こちらの方が有名な会議センターである。そのため北京国際空港からタクシーで「オリンピック会場”鳥の巣”近くの会議センターへ」と伝えると、国家会議センターではなく誤って北京国際会議センターの方へ連れて行かれる可能性が高い。
出展者は企画・運営母体であるIPPH(知識産権出版局)を含めて23社・団体にのぼり、うち7社が日本企業・日系企業である。日本の特許・情報フェア&コンファレンスと比べると展示ブースの場所はそれほど大きくなく、各社の出展内容も特許データベース・調査サービス・翻訳サービス・ソフトウェア(特許分析・管理系)が中心であり、そのほか特許事務所が2事務所(中国の特許事務所および日本の特許事務所)や技術移転機関(中国技術交易所)などの出展があった(写真2参照)。
日本の特許・情報フェア&コンファレンスのように各社の新製品・新サービスのお披露目の機会という位置づけではなく、今回の中国特許情報カンファレンスは中国企業・機関へ対する知的財産権情報の利用・活用を促す機会を提供するのが、主催者側の意図であると感じた。そのため、上述のとおり出展者ブースにはあまりスペースを割いておらず、また出展者プレゼンテーションも1社あたり10分という短い時間であった。
出展者ブースやプレゼンテーションよりも重点が置かれていたのは、中国における知的財産権情報の現状報告や、海外の知的財産権利用・活用に関する事例紹介である。350名収容の大会議場における1日目の全体セッションや(写真3参照)、小規模会議ルームで開催された2日目のワークショップ・トレーニングコースは、まさに中国企業・機関への知的財産権情報利用・活用への啓蒙を強く意識しているものであった。
本カンファレンスへの参加者(全体セッションやワークショップ・トレーニングコースへは事前登録が必要。ただし展示ブース閲覧は事前登録の必要がない)はPIACウェブサイトで確認できる限り230名で、うち167名が中国人、日本人は中国人に次いで多い44名がエントリーしている。欧米からの参加者が約10名程度であることを踏まえると、日本企業の中国知的財産権情報に対するニーズの強さが窺える。
全体として盛況に終わった第1回中国特許情報カンファレンスであるが、全体セッション・ワークショップなどへの事前参加申し込みにおける事務局サイドの混乱、カンファレンス参加者への事前連絡の際の連絡方法(電子メールの利用方法)など、運営面ではまだ不十分な点が目に付いた。来年度以降も開催される方向であるようなので、カンファレンスの内容だけではなく運営面での充実も期待したい。
(NGB・IP総研 コンサルティングソリューショングループ 主任研究員 野崎篤志)