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2010.11.28
これを記念し、NGBの役員やOBが、記憶に残る10大トピックを振り返ります。
1.海外特許情報の輸入~英国ダウエント社との代理店契約
2.外国特許出願仲介業務に参入
3.大阪出張所の開設
4.霞が関ビルへの本社移転
5.アメリカ特許弁護士のNGB駐在
6.CPA社との業務提携~外国年金管理業務の発展
7.アジア・プロジェクトのスタート
8.米国特許侵害セミナー(模擬裁判)開催
9.日本ビジネス翻訳株式会社(NBT)の設立
10.北京駐在員事務所の開設
今回は「米国特許侵害セミナー(模擬裁判)開催」をご紹介します。
8.米国特許侵害セミナー(模擬裁判)開催
NGBでは、ここ20年間に米国特許模擬裁判という大きなセミナーを2度開催しました。
最初は平成3(1991)年3月、笹川記念館で行った模擬裁判です。これは、実際に日本企業が巻き込まれた特許紛争を題材にしたもので、当時としては画期的な試みであり多くの企業の特許部幹部スタッフの関心を集め、笹川記念館をほぼ満席にするくらいの盛況振りでした。
それもそのはず、80年代後半の米国はプロパテント時代の真っ只中であり、また当時の日本企業のプレゼンスの増大を端緒とした日米通商摩擦も厳しさを増しておりました。それらが相まった結果、米国企業が日本企業を相手に特許紛争をしかけて高額な賠償金または和解金を勝ち取るケースが目立ち、そのような情勢が企業法務部と特許部を震撼させていたからです。
このような背景で行われたこの模擬裁判は、企業の米国特許取得件数を増大させる契機となり、特許部員の強化においても一石を投じることができたのではないかと思われます。
時が経って、平成16年の11月、2度目となる模擬裁判は、シュグルー特許法律事務所との全面タイアップで、当社大会議室を会場とした米国模擬裁判セミナーでした。キャスティングはシュグルー特許法律事務所の弁護士のみならず、わざわざ現役の判事に来日を懇請して「判事役」を演じてもらい、また、裁判セットも映画「東京裁判」で実際に使われたものをレンタルするなど本格的なものとなりました。そして、内容的にユニークであったのは、特許裁判を知らない知り合いの外国人に陪審員を演じてもらい、実際に審議してもらうプロセスまでをも再現したことです。因みに、そのときの被告役・日本企業側の知財部長を熱演したのは、惜しくも平成20年4月に他界された当時の大原特許部長でした。
その頃になると、企業のかつての特許部は知財部と名称を変え、予算・人材面も拡充し海外特許紛争に立ち向かおうとする気力・体力も充分でした。そうした方々は、模擬裁判の合間に設けたレクチャーにも熱心に耳を傾け、また、質疑応答でもより実戦経験を踏まえたものが多かったと記憶しています。
米国特許侵害訴訟という黒船が来て早20年、こうした模擬裁判等のセミナーを通じた情報提供が、激変する環境の中でお客様の知財戦略策定に少しでもお役に立てたとすれば、幸甚です。
文・小林哲夫(昭49入社)