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2012.10.19

【米国研修レポート2012】~法改正に伴う Declaration の書式変更を中心に~

NGBが毎年実施している若手特許部員の米国研修。今年は8月27日から31日までの日程で、部員3名がワシントンD.C.とその周辺に事務所を構える複数の代理人を訪問して参りました。
ご存知のとおり、これまで米国特許制度のもとで出願人として認められていたのは発明者だけでした。しかし、昨年の法改正により、2012年9月16日以降の出願(*)では、他の多くの国の運用と同様に、譲受人も出願人として認められることになりました。
これに伴い、新規にUS出願する際に必要なサイン書類のうち、特にDeclarationの書式が変更となり、この点が9月16日施行のルールの中でも大きな話題となっていました。
(* 9月16日以降の米国出願または国際出願)

そこで今年の特許部研修においては、特にこのDeclarationの変更事項・運用について、複数の特許/法律事務所を訪問し、情報収集を行いました。
紙面の都合により、内容についてここでは割愛させていただきますが、訪問時の8月末は、200ページを超えるUSPTOからの施行規則が発行されたばかりで、代理人自身もDeclarationに関する施行規則の把握に四苦八苦している様子でした。以下に各事務所訪問を経て受けた印象などを簡単にご紹介させて頂きます。

まず訪問した事務所の選定ですが、特許出願取り扱い件数が多い、または規模の大きい事務所から、比較的規模の小さい事務所まで、幅広く訪問し、合計で10の事務所を訪れました。中には日本企業を主な顧客とし、スタッフにも日本人が多くいる事務所もありました。また、USPTOに近い立地ならではの対応(審査官との面接・問い合わせの利便性)を顧客へのサービスとして重視している事務所や、ワシントン郊外ならではのメリット(attorney feeが比較的低い)をセールスポイントとしている事務所など、事務所の立地による利点の違いも実感することができました。

実際情報収集にあたったDeclarationについては、Declarationという1つのテーマでも、事務所ごとにスタンスや考え方、リスクヘッジ方針が違うことを肌で感じることができ、非常に興味深いと感じました。具体的には、USPTOから提示されたサンプルフォームをなるべく変えない書類形式をベストと考える事務所、同じ署名者が署名する各書類を1つにまとめることで署名をなるべく速やかに入手する運用を推奨する事務所などがありました。決定のプロセスでたくさんの議論をかわしていることが感じ取れました。

全体として、日々新たな情報が入ってくる非常に多忙な時期にもかかわらず、いずれの代理人も私たちを歓迎してくれ、法改正について丁寧に説明をしてくれたことは非常にありがたく感じました。また事務所の中には堅い雰囲気の事務所もあれば、フレンドリーな雰囲気が感じられる事務所もあり、こうした点を実感できたことも有意義でした。
更に、これまで書面上でのやりとりは何度も行っていても、直接会う機会がなかったattorneyもいたため、今回こうした方たちと会うことができたことは、今後仕事を円滑に進める上でも非常に良い機会となりました。

NGB特許部では、これからも出願件数の多い主要国、また情報が得にくいマイナー国の情報を数多くの海外代理人との連携を生かして収集し、お客様へお届けして参ります。

特許部 大串、齋藤、森田(研修チーム)、横倉(編集)

Sughrue, Mion事務所にて
DrinkerBiddle&Reath事務所にて
Studebaker&Brackett事務所にて
Stites&Harbison事務所にて

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