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2013.01.18
AIAの特許法115条(f)によれば発明者宣誓書はNotice of Allowance(認可通知)よりも前に提出することが求められていました。 AIAにおいては発明者宣誓書を出願時に提出しない場合、審査で実質的拒絶が解消されると、米国特許商標特許庁(USPTO)から発明者宣誓書の提出を求める通知が発行され、それに応える形で発明者宣誓書を提出すると初めて認可通知が発行されるという実務になっていました。 今回、特許発行費用支払いまでに発明者宣誓書を提出するよう115条(f)が修正されております。
(AIA制定時よりも提出期限は延長されましたが、出願時に発明者宣誓書を提出しませんと庁費用が余分にかかります。 弊社といたしましては管理面からも出願時に発明者宣誓書を提出することをお勧めいたします。)
2. 9ヶ月の”デッドゾーン(空白期間)”の撤廃
AIAにおいては、これまでの当事者系再審査がPGR(登録後レビュー、特許発行日から9ヶ月以内)とIPR(当事者系レビュー、特許発行日から9ヶ月経過後)の二つのレビュー手続きに置き換わりました。 IPRについては2012年9月16日に施行されており、PGRについては2013年3月16日以降の有効出願日を持つ出願(先願主義制度適用の出願)に適用となっておりました。 このため、2013年3月15日以前の有効出願日を有する特許についてPGRは使用できず、特許発行日から9ヶ月経って初めてIPRが使えるようになっていました。 このように、特許が発行されても9ヶ月はIPRを使用できないという”デッドゾーン”がありましたが、今回撤廃されました。 従いまして先発明主義適用の出願については特許発行日から9ヶ月を待つことなくIPRを使用できるようになりました。
3. 特許期間調整(PTA)の起算日についての明確化
USPTOによるPTAの最初の計算やその計算に対する出願人の再考願いに対するUSPTOの決定に関して、特許権者はバージニア州東部地区連邦地裁に不服申立をすることができました。 今後はUSPTOによるPTAの最初の計算について直接バージニア州東部地区連邦地裁に不服申立をすることはできなくなります。 バージニア州東部地区連邦地裁に不服申立をするには、今後はまずUSPTOに再考願いを提出する必要があります。
また、AIAでは371条の要件を満足した日が国際出願のPTAの起算日となっていましたが、今回国際出願の米国国内段階開始日がPTAの起算日と明確化されました。 (例えば発明者宣誓書を遅く提出してもPTAで出願人に不利に働くことはなくなるようです。)
4. 対特許庁への冒認出願手続きの時期についての明確化
「最初の公開から1年以内に冒認手続を開始しなければならない」というAIA特許法135条における”最初の公開”の意味が混乱を来していました。 冒認者の特許発行か冒認者の出願公開のどちらか早い方から一年以内に冒認手続を開始しなければならないと明確にされました。 対象出願は先願主義対象案件となります。
(記事担当 折田)