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2013.04.19
インド特許法第3条(d)は、インド特許法に物質特許制度が導入された2005年法改正で導入されたもので、「既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見であって当該物質の既知の効能の増大(enhancement of known efficacy)にならないもの」は発明ではないとするものである。
争点の一つとなったこのインド特許法第3条(d)に関し、最高裁判決文では、「病気の治療をクレームした医薬品のケースでは、効能(efficacy)は “therapeutic efficacy(治療効果)”のみがテストされる」と述べられた上で、「治療効果の向上は、研究データによってクレーム及び立証されなければならないところ、本件ではそれが示されていない」として、Novartis社のグリベック出願は法第3条(d) を充足しないと判断された。
他方で、判決文においては、「本判決は、本件(グリベック出願)が法第3条(d)に基づく要件を満たさないことは認めるが、法第3条(d)がインドにおける全ての化学・医薬物質を排除することを認めるものではない」とも述べられ、また「効能(efficacy)」の一般的な解釈についての判断も行われなかった。
※最高裁判決文は以下からご覧いただけます
http://judis.nic.in/supremecourt/imgs1.aspx?filename=40212
(特許部 井原克誠・鮫島玲史)