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2013.06.21

【ミャンマー訪問記2013】 後編: 新商標法関連情報

 近々商標法(を含む知財諸法)の施行が予定されているミャンマー。同国の最新情報を集めるべく、NGB商標部から中島隆・浦野修吾の二名が5月中旬に現地を訪問して参りました。代表的な商業都市ヤンゴンの「今」をレポートした前編に続き、本稿では商標登記実務と新商標法制定の状況についてご報告します。

商標登記:
 商標法施行の準備は進められているものの、現時点では商標法はございません。但し、ミャンマー農業省管轄の登記所にて商標を登記し、新聞広告にて Cautionary Notice を公告することで、ある程度の商標権の保護は受けられます。登記所は、本来は田んぼや畑等の農地の登記手続きを行う場所ですが、商標登記も受け付けております。
 
 下記写真の内、左が登記所の入口風景、右が商標登記を行う窓口です。商標登記はまったく電子化がされておらず、手作業で商標の情報を登記しております。

 下記写真の左は、商標権利者(もしくは代理人)の女性が、商標登記の書類に拇印を押しているところです。ミャンマーでは、商標登記に必要な書類や代理人情報等の確認がされ、不備が無ければ商標は登記できます。商標の審査は行われておらず、先行商標との類比判断もされておりません。写真右は、商標登記した後、新聞広告に商標の Cautionary Noticeが公告されているところです。
新商標法現状:
ミャンマー科学技術省が中心となり、商標法案作成中です。現状、WTOの期限である2013年7月1日までに新法を施行することは不可能ですが、現地の法律事務所複数箇所では、早くて2013年10月~12月頃を目処に新法が施行されるものと予見しております。

新商標法特徴:
* 有効期間:出願日から10年間
* 異議申立期間:公告後、ミャンマー国内在住者には60日
* 異議申立期間:公告後、ミャンマー国外在住者には90日
* 更新可能期間:商標更新期限前後6ヶ月(但し、更新期限後に更新出願した場合は、
  別途費用発生)
* 譲渡、ライセンス可能
* 1出願1区分もしくは多区分かは現時点では不明

サンライズピリオド(移行期間):
 法律施行後3年間の移行期間があり、旧制度の商標登録はその3年の間に再出願すれば仮の登録証明書(Temporary Certificate of Registered Mark)が発行されます。審査の結果、商標法が出す要件を満たしていればそのまま登録されるということです。

 現時点で新規出願を検討されている場合は、実際の新法施行時期が不確定であること、新制度において旧制度での登録を基礎としてのサンライズ出願が可能であること、新法下出願の審査開始時期が読めない(3年のサンライズ期間後と予想される)ことから、早期の権利化のため、新法施行を待たずに登録することをお勧めします。

 旧制度、新制度のいずれも先願主義であることに変わりはありませんので、出願計画があるにもかかわらず、新法の施行まで待つことはリスクを生ぜしめることになりかねません。旧制度での登録に加えて新制度でのサンライズ出願となれば、費用的な負担は増えますが、商標法施行で世界から注目を浴びるミャンマーは、商標パイレーツによる冒認出願の格好の舞台とも言えます。そのようなリスクを少しでも軽減させるためには、新法を待たない早めの出願が肝要です。

 また、既に旧制度での登録を持っている場合でも、指定商品の範囲を見直し、追加すべき保護範囲があれば、それらもカバーした商品指定にて現時点で登録し、新法への移行を待つのも手と言えます。

(商標部 浦野修吾)

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