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2013.07.29
今回は公開されている統計情報および商用データベースから、アフリカ(ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプト)における特許出願状況を紹介する。
※ARIPO(African Regional Intellectual Property Organization:アフリカ広域知的財産機関)には、アフリカ諸国のうち英語圏16ヶ国が加盟している。加盟国はボツワナ、ガンビア、ガーナ、ケニア、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、スワジランド、ウガンダ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエである。
※OAPI(Organisation Africaine de la Propriete Intellectuelle:アフリカ知的財産機関)には、アフリカ諸国のうち仏語圏17ヶ国が加盟している。加盟国はベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ共和国、コートジボワール、赤道ギニア、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、トーゴ、コモロ連合である。
ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプトの出願・登録件数推移
WIPO(World Intellectual Property Organization:世界知的所有権機関)が公開している統計に基づき、2008~2011年のARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプトの出願件数推移を図2(左上)に、登録件数推移を図3(右上)に示す。商用データベースPatBaseを用いて、2008~2012年のARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプトにおける登録件数推移を図2(下)に示す。(拡大図はページ下部のリンクを参照)
図2(左上)をみると、南アフリカの出願件数は年あたり6000件~8000件程度で推移しており、エジプトの出願件数は年あたり2000件程度で推移している。OAPIの統計情報は2009年までしかないが、2008年と2009年の出願件数はそれぞれ450件程度となっている。ARIPOは2008年分しか情報がなく、出願件数は435件となっている。
次に図2(右上)をみると、南アフリカの登録件数は2010年以降、年あたり5000件程度となっている。エジプトの登録件数は年あたり300~500件程度で推移している。ARIPOは2008年分しか情報がなく、登録件数は120件となっている。OAPIについては情報がない。
図2(下)を図2(右上)のWIPO統計と比較すると、エジプトについては2008年~2011年の件数は両者ほぼ一致しており、最新2012年の登録件数は624件となっている。ARIPOについては、WIPOの統計が2008年分しか存在しないが、2008年の登録件数は両者ほぼ一致しており、最新2012年の登録件数は231件となっている。南アフリカについては、2008年と2009年の登録件数がWIPOの統計と大幅に異なるものの、2010年の登録件数はWIPOの統計とおおよそ一致している。OAPIについては2008年以降の収録がなかった。
図3にARIPO・南アフリカ・エジプトにおける権利者ランキングを示す。ARIPOおよびエジプトについては、2012年発行分の登録特許におけるランキング、南アフリカについては2010年発行分のランキングとなっている。
欧米医薬品・化学企業(ファイザー・バイエルなど)や日用品企業(ユニ・チャーム・ユニリーバ・P&Gなど)がアフリカへ積極的に特許出願していることが分かる。また、エジプトでは資源開発企業も多く特許を取得している。日本企業としては、エジプトでユニ・チャームが17件、住友化学が10件の特許を取得しているが、ARIPOおよび南アフリカでは上位企業として日本企業の名前はまだ挙がっていない。
図4にARIPO・南アフリカ・エジプトにおけるIPCランキングを示す。権利者ランキングと同様に、医薬・化学系の分類が上位を占めていることがわかる。