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2013.12.24
最初に今回のセミナーにお申込み頂いた方々、お問合せ頂いた方々に対してこの場をお借りして御礼申し上げます。今回のセミナーは弊社メルマガにてご案内をさせて頂きましたが、予想以上に多くのお客様からお申込みを頂きました。
当初予定していた11月29日午後の部はメルマガでのご案内を開始してから約3時間で満席になり、当初の定員50名を上回る70名の方にお申込み頂きました。予想以上の反響であった為、早速、追加セミナーの開催を決定致しましたが追加開催分である午前の部もご案内から約2日間で満席となりました。お陰さまで今回のセミナーには合計129名の方にご参加頂きました。誠にありがとうございました。
また、今回は参加して頂けなかったお客様、誠に申し訳ございませんでした。ご希望頂いたお客様にはセミナーテキストをお送りしましたが、ご不明な点などがございましたらお気軽にお問合せ下さい。
さて、第2 回目となる今回のセミナーにはChina-IPPublication.net の設立者であるBeijing Elite Intellectual Property Service Co. Ltd. 総経理 崔暁光弁護士に加え、本サービスの公証手続きなどでもお世話になっている「北京市中信公証処」の王明亮氏(主任公証員)をお招きして、中国公証制度の概要、公証の必要性、中国公証の実態などについてごご講演頂きました。また、IP 総研からは採用事例などを含め、China-IPPublication.net サービスをご紹介させて頂きました。
【第1部 中国における公証制度のご紹介】 講師:王 明亮 氏
Mr. Wang Mingliang, Director of Zhongxin Notary Office、中国公証員、北京市中信公証処、主任(Director) 北京大学 法学部卒、北京市公証協会副会長、中国公証協会青年委員、中国政法大学兼職教授などを務める。
◆現在、中国の公証員は約2万名。
◆年間の処理件数は約1000万件。
◆王主任が所属する北京市中信公証処では知的財産関連の公証は年間約1万件とのこと。
◆北京市内には25ヶ所の公証処がある。25ヶ所の公証処には約200名の公証員がいる。
◆現在適用されている公証法は2005年8月28日に全国人民代表大会常務委員会の審議により可決、2006年3月1日施行。
◆中国公証制度は民事訴訟の発生を防ぐ、民事商事活動の規範化、社会主義市場の秩序維持を主な役割としている。
◆中国公証は強制執行効力を有する。また、証明効力、法定公証効力を有する。
◆外国人、外国企業が公証取得を申請する場合はその手続、提出書類などの作成を考えると中国国内の適切な代理人を選定する事が望ましい。
◆公証され保全された証拠は当事者の立証責任が免除される。
◆訴訟を前提としたと思われる証拠保全公証は2012年に19万件となった。
◆近年、公証員は多忙である。また、地方の公証処では知的財産関連の公証に対応できないところもある。
など中国公証制度について現職の公証員の方からお話しをお聞きすることが出来ました。
【第2部 China Public Notary System】 講師:崔 暁光 氏
Mr. Xiaoguang Cui, Lawyer, General Manager, Beijing Elite Intellectual Property Service Co., Ltd.、中国弁護士。長年に亘り北京三友知識産権代理有限公司の総経理および知財弁護士として活躍。数多くの訴訟経験を有する。現在はChina-IPPublication.net サービスを提供するBeijing Elite Intellectual Property Service Co., Ltd.の総経理も務める。
崔弁護士からは弁護士の立場から、公証制度の概要をご説明頂きました。また、最近の関連判例として欧州の訴訟において、「証拠とする資料がインターネット上において一定期間、公開されていたが、後に非公開(削除)となったケースの判断」についてご紹介頂きました。対象資料はインターネット上で約2週間に亘り公開されていたそうですが、その事実は「公衆に周知された事実」として認められたとのことでした。
【第3部 China-IPPublication.net サービスのご紹介】ご案内:IP総研 長谷川 雅則
中国民事訴訟における証拠立証の困難さ、公証の効力、公証の必要性、重要性などを関連条文を交えてご説明し、China-IPPublication.net の有効性をご案内させて頂きました。
その他、China-IPPublication.net サービスの公証役場での具体的手続きフロー、また、本サービスの採用事例、China-IPPublication.net サイトで公開中の案件などをご紹介致しました。
次回は、先使用権の抗弁の一手段としての中国公証、そして防衛公開に関してより具体的な内容(手続き、事例研究)のセミナーを検討しております。企画が具体化した際には、弊社メルマガなどでもご案内をさせて頂きます。
【北京市中信公証処訪問レポート】
今回の訪問目的はセミナーの際に出席者の方々からお預かりした質問事項の確認、知財関連の具体的公証事例の確認および関連資料入手、そして最大の目的は公証処との関係強化でした。
公証処を訪問したのは水曜日の午前10時。左の写真は執務室で途切れることの無い電話に応対する王主任。その合間を縫って、私の対応をして下さいました。公証処における主任という役職は所長(処長)に次ぐ上級職だそうです。
セミナーの際にもご紹介させて頂きましたが、公証員は近年とても多忙です。北京に駐在している日系企業の方々でさえ、公証員には簡単にアポイントが取れないようです。申請者からの日時指定も極めて困難だそうです。右の写真は待合室(通常の待合室では足りず、大会議室を開放したとおっしゃっていました。)の様子です。「北京市中信公証処」の公証員は約30名。公証員は全て個室を持っています。公証手続きは主にその個室で行われますが、どの部屋も公証申請者で埋まっていました。
NGBは本サービスを通じて、また崔弁護士を通じて公証処とのパイプを築くことができ、本サービスでも公証手続きをスムーズに行うことが可能となりましたが、このような公証員の状況においては有事に緊急対応してもらうことは容易ではないと感じました。改めて、証拠保全は平時に行うべきであると痛感しました。
なお、当日は王主任から「自由に公証処内をご覧になって下さい。質問があれば何でも聞いて下さい。写真も好きなだけ撮って下さい。」と特別扱いをして頂きました。お言葉に甘え、「法律事務部(弁護士などが駐在)」、「翻訳室(翻訳者が駐在し、主に中英翻訳を行う)」、「Web公証などを行うインターネット公証室」、「制証室(公証証書を作成)」、「図書室」などを訪問し、各部門の説明をして頂きました。また、機会があればご紹介したいと思います。
以上、簡単ではありますが、「北京市中信公証処」への訪問レポートとさせて頂きます。
なお、”China-IPPublication.net” についてのお問い合わせは下記担当者までお願い致します。
担当:IP総研 長谷川 雅則、白岡 剛
IP総研 代表メール ip-soken@ngb.co.jp
(IP総研 長谷川 雅則)