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2013.12.26

【米国研修レポート2013】~前篇:AFCP 2.0の現状~

NGB特許部が毎年実施している若手部員の米国研修。2013年10月21日から25日までの日程で、ワシントンD.C.とその近郊に事務所を構える代理人を訪問致しました。心配していた17年振りの米国政府機関の閉鎖は研修直前に終了し、大きな混乱なく研修に臨むことができました。本年は、技術系部員だけでなく事務系部員も同行したため、研修テーマとして、“APCP 2.0の現状把握”と“包袋の電子ファイル化の視察”に焦点を当てました。前篇では、AFCP 2.0の現状について、現地代理人からの知見を交えてお届けします。
AFCP 2.0の現状

ご存知のように、2012年3月16日より、不必要なRCEによる審査遅延を解消することを目的として、最終指令書応答後に審査官に所定の検討時間(3時間)が与えられるAfter Final Consideration Pilot Program (以下、AFCP)が開始されました。現在は、改良版であるAFCP 2.0が試行されており、2014年9月30日まで利用できることが発表されています。従来のAFCPからAFCP 2.0における主な変更点は、(1)申請手続きが必要なこと、(2)独立クレームの減縮補正が必要であること、(3)特許性が認められない場合に審査官面談がなされること、(4)37 CFR 1.132宣誓書を提出できなくなったことです。

上記の変更点に関して、訪問先の代理人の見解によれば、従来のAFCPでは、指令書応答後の検討が適切に行われているか不透明であったため、審査官にしっかりと補正を検討させる状況を作る意図であろうとのことでした。例えば、申請手続きを設けたことで、AFCP 2.0適用案件が絞り込まれ、その結果、審査官の負荷は軽減されます。さらに、審査官面談は、審査官の検討を促すことになります。一方、1.132宣誓書の検討は容易ではないため、十分に検討されるべきとの見解が多く、AFCP 2.0で提出できなくなったことへの理解を示していました。

訪問先の代理人は、AFCP 2.0に対して、おおむね好印象を抱いていました。特に、たとえ補正クレームの特許性が認められなくても、審査官面談で議論を進ませることができる点をメリットとして挙げていました。その他にも、申請手続き(対象案件の明確化)や独立クレームの減縮(争点の明確化)を導入したことで、出願人や代理人だけでなく、審査官にとっても好ましいwin×3の手続きになったとの声もありました。

一方で、懸念される事項がまだ存在しています。すなわち、AFCP 2.0の最大の目的である『RCEの削減』については、現時点では劇的な効果が出ているとは言いがたいようです。各事務所で正確な統計を取っていた訳ではありませんが、申請後直ぐに認可となる案件は、2-3割程度との感覚であるという事務所が半数でした。また、AFCP 2.0申請時までの議論の成熟度や補正内容などが加味されていない段階での情報に過ぎませんが、AFCP 2.0を申請しても半数以上の案件でAdvisory Actionが発行されるのが現状のようです。

RCEを回避するための戦略として、ほぼ全ての訪問先の代理人が、AFCP 2.0申請前に行う審査官面談が有効との見解を示していました。AFCP 2.0で行われる審査官面談は、時間的な制限があり(所定の3時間の内の1時間)、通常の審査官面談と比べて十分な議論を行えないようです。そのため、申請前に審査官面談を行い、審査官の案件理解度を高めることができれば、審査官が所定時間を効率的に活用するだろうとのことです。

全体的な感想として、AFCP 2.0の申請がRCEの削減に直結するのかという点については、残念ながら、現時点ではそこまでの肯定的な感触を得ることができませんでした。しかしながら、新たに導入された「審査官面談」により、審査官と代理人との間の意思疎通の機会を増やすことができるため、長期的な視点で見れば、審査の促進につながることは期待されます。

何かご不明な点やご相談したい内容がございましたら、NGB特許部までお気軽にお問い合わせください。

記事担当:林、湯川、半澤、高野
編集:杉田、長谷川、田中

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