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2014.02.07
1.広州市工商行政管理局訪問
中国における模倣品対策は、民事、刑事ルートは勿論、行政ルートも活用できます。今回は、その最前線の役所――広州市工商行政管理局を訪問しました。
1階は会社登記等の業務の窓口であり、工商局職員との会談は14階の会議室で行われました。撮影禁止の為、残念ながら会議中の様子は撮れませんでした。
管理する支局数:15、工商所(出張所):171、職員数:約4000人
商標処の役割:市場の監督、行政執行(取締り)
商標処の構成:管理処(プラン立て)、経済検査処(取締り実行)
案件の割合:自発的取締り(17%)、申請による取締り(83%)
今年度の実績(訪問日までの数字):1077件(渉外:890、83%、日本:110件)、案件金額は1492万元、刑事ルートに移送した案件は24件
その後、少々緊張しながらの質疑応答です。
Q1.支局が自発的取締りを行う場合はありますか?
国務院や上級機関からの指示があった場合、又はキャンペーンが行われる場合に自発的に行います。工商局は模倣品対策以外にも、会社の管理や市場の監視等多くの業務を担当していますので、現時点では主に申請ベースによる取締りにならざるを得ません。
Q2.工商局の管轄について?(行政取締りは、具体的にどこに対して申請すべきか)
省、市局でも受付可能ですが、実際に取締りを担当する「支局」がお勧めです。
Q3.渉外案件について、日本以外に、どの国が多いですか?
米国(電気製品)、フランス(ブランド品)、イタリア(被服)
Q4.侵害態様について、最近の傾向はどうですか?
(1)隠蔽性が高い
(2)カタログ販売(商品の引渡しは市場外、場所の確定が困難になること)
(3)中古品のリニューアル販売(商標権侵害とすべきか判断が困難であること)
(4)正規工場による生産行為(ほぼ真正品と同視できること)
Q5.行政取締りの障害はどのようなことがあるか?
(1)侵害者による先駆け登録=> 対策:少なくとも、かかる不正登録に対して異議申立を提起すること
(2)商標が同一でない場合、当局による商標類否の判断は慎重=> 対策:類似の決定・判例、馳名・著名商標認定、他の地方の取締り決定書を工商局に提出すること
中国の政府職員は、態度が硬く、怖いイメージがあるかもしれませんが、梁小平処長は大変親切で物腰の柔らかい方で、貴重な情報を提供して下さいました。また、NGB以外にも、ジェトロや日本の大手企業による訪問を接待したといわれています。
(商標部 範囲)