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2014.02.07
2.広州市自動車部品、アクセサリ市場
工商局訪問の翌日、広州市の自動車部品・アクセサリ市場を視察しました。当初は観光客やバイヤーを装って訪問する予定でしたが、最近取り締まり等が頻繁に行われ、店側も大変敏感になっているとのこと。本当の身分がバレますと、なんと命への脅威も否定できませんよと現地代理人から注意されました。そこで今回は、工商局からご協力を頂き、現役の取締担当官の呉さんに帯同して頂きました。本当に感謝しております。
[訪問先]
1.広園致友汽配城(2000年~、店舗数:約200軒)
2.福怡汽車用品市場(1998年~、店舗数:約200軒)
[訪問結果]
いざ店舗に入ってみますと、パソコンと店員さんしか見当たらない状況です。店頭に置いてある商品のほとんどは自社のブランドでした。模倣品も見当たりません(せっかく訪問したのに…と逆に残念な気持ちもありますが)。また、多くの店舗の入り口には、何か貼っているようですが…。
一見して、「きちんと法律を順守していますね!」との好印象を受けました。これで日本の企業も安心できますね?
そこで、呉さんが真相を語り始めました。ここ数年、政府は自動車部品の模倣品対策に対して大きく力を入れています。つい最近、広い範囲で取り締まりのキャンペーンが行われました。その背景としては、アフリカに輸出された自動車部品の模倣品に起因して、大きな交通事故となり、外交問題となったのだそうです。そのため、「見た目」は模倣品がきれいに市場から一掃されているのです。
NGB:もし今後キャンペーンを中止すれば?
呉さん:(笑)もちろんまた模倣品が出回るでしょう!
NGB:あの…これからも引続きキャンペーンを続けて頂ければ幸甚でございますが…
呉さん:(笑)
などと会話を交わしていたところ、自動車の構成部品ではないですが、キーホルダーやクッション、マット等のアクセサリー商品に無許可と思われる有名商標の使用を発見しました。
しかし、本当に模倣品が減少したのでしょうか?そんなことはありません。実は、もっと隠蔽的な手法で模倣品の販売が行われていることを、現地代理人や呉さんの口から聞きました。UNITALEN広州支所の話では、模倣品業者も法律の知識を持つようになり、事前に他社の商標を先駆け登録したり、取り締まり活動がかけられた時に悪徳弁護士を雇い、逆に取締官を詭弁で弄することもしばしばあるとのことです。現状は楽観的ではありません。
[訪問を終えて]
最近、日中間の政治的軋轢の影響を受け、また、現地の人件費の高騰により、日本企業の中国進出は、一時の勢いを失っている感があります。しかし、主要なマーケットとして、中国市場を無視することもできないでしょう。この主要なマーケットにおいて、如何に利益を健全かつ継続的に獲得するかは、永遠の課題として残っています。NGBとしましては、今後とも、模倣品問題について情報を収集し、クライアント様へのフィードバック、日々の業務に役立てたいと考えております。
(商標部 範囲)