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2014.02.20
米国出願日(PCT経由の場合は、35 U.S.C. §371に規定の国内段階が開始した日)から特許発行日までに3年よりも長くかかった場合は(B delay)、3年を超えた分の日数の特許期間が追加付与されますが(37 C.F.R. §1.702(b))、継続審査に要した期間は含まないと規定されています(37 C.F.R. §1.702(b)(1))。すなわち、継続審査請求(RCE)を行った場合、継続審査にかかった期間はこのB delayの計算において考慮されません。
今回の事件は、Novartis社が、米国特許商標庁(USPTO)の計算方法に誤りがあるとして訴えたものであり、継続審査に要した期間(”any time consumed by continued examination”)の解釈について争われたものです。米国特許商標庁は、従来、「継続審査に要した期間」は、RCEを行った日から特許発行日まで(下記チャートの(ii)+ (iii))と解釈して運用を行っておりました。しかしながら、今回のCAFC判決において、「継続審査に要した期間」は、RCEを行った日から認可通知(Notice of Allowance)の発行日までであり(下記チャートの(ii))、認可通知の発行日から特許発行日までの期間(下記チャートの(iii))は含まないと判示されました。このCAFC判決に基づくPTA計算方法によると、RCEを行った後に認可された米国特許について、米国出願日からRCEまでの期間と認可通知の発行日から特許発行日までの期間の合計(下記チャートの(i)+ (iii))が3年を超える案件は、米国特許商標庁の認定よりも長いPTAが得られるべきと考えられます。
※ いわゆるA delayとB delayの重複期間の扱いに関する2010年1月7日のCAFC判決、Wyeth v. Kapposの際には、米国特許商標庁は2010年3月2日から判決に従ったPTA計算に変更し、それ以前の180日以内に発行した特許についてPTA再計算の要求を受け付けました。今回のNovartis v. Lee判決について、米国特許商標庁が同様のアナウンスを行うかどうかは、現時点では不明です。
(記事担当:特許第2部 井原)