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2014.03.20
開発はスタンフォード大学
Lex Machinaは、米国知財訴訟に関する裁判所、判事、弁護士、当事者及び特許情報などのいわばビッグデータを備えた、訴訟の動向を明確かつ正確に把握できる有料の解析ツールです。スタンフォード大学のコンピュータサイエンス部門及びロースクールの専門家が共同で開発し、現在では米国の大手事務所や大企業(例えばMicrosoftやeBay)、更には米国知的財産権法協会(AIPLA)でも正式に採用されています。
米国特許庁も認定
米国で深刻化する「パテント・トロール」問題に対処すべく、2013年6月にオバマ大統領は対策宣言を発表、7件の立法措置と5件の行政措置を提案していました。Lex Machinaはその行政措置の一つ「川下ユーザーへの能力強化(Empowering downstream users)」ツールとして米国特許庁に認定されました(2014年2月Lex Machina社発表)。即ち、ホワイトハウスと米国特許庁が提供を約束した「パテント・トロールからの要求書(demand letter)を受けた当事者がもつ共通の質問に答えるべく、分かりやすい英語でアクセス可能なウェブサイトを含む、新しい教育的・支援材料」、その答えがLex Machina なのです。
無料サービス「Demand letter Analytics(要求書分析)」について
「教育的・支援材料」と謳っている以上、Lex Machina のサービスは一部無料で提供を受けることが出来ます。具体的には、「Demand letter Analytics」というサービスで、例えばパテント・トロールから要求書(例えば警告状や訴状)を受けた場合に、特許権者、代理法律事務所、及び対象特許についての過去の訴訟履歴と、同トロールと過去に対峙した会社及び代理法律事務所情報についての分析結果を無料で得ることが出来ます。
それでは以下、Lex Machina社公式サイト掲載のサンプルを見ながら「Demand letter Analytics」で得られる情報をご紹介していきましょう。同サンプルは、要求書を送付してきた当事者を「Brandywine Communications Technologies, LLC.」(製造会社ですが特許の使い方がパテント・トロール的な会社)、その代理法律事務所を「Owens Tarabichi」(サンノゼの法律事務所)などと情報入力して得られた分析結果です。
1. 要求書(demand letter)送付者についての分析
過去に134件の特許訴訟を経験していること、直近の提訴案件についての情報が以下のように示されます(Fig.1)。
2. 代理法律事務所についての分析
過去に31の案件を代理しており、直近の代理案件と上位顧客情報が以下のよう示されます(Fig.2)。
3. 要求書(demand letter)送付者が示してきた対象特許
対象特許について過去の訴訟でどのくらい主張され、その結果についての概略について示されます(Fig.3)。
4. 要求書(demand letter)送付者と対峙した事務所・弁護士情報及び上記対象特許が使用された事件で出てきた反対側当事者
要求書(demand letter)送付者に関してアドバイスを得られるかもしれない事務所・弁護士名と企業名(例えばVerizon, AT&T等)が示されます(Fig.4)。
有料サービス、即ち更に詳細な情報や他切り口からの分析は、Lex Machina社とご契約いただくか、或いは当社に調査をご依頼頂くことで対応することができます。本件についてのお問い合わせは、お問合わせフォームから筆者または当社IP総研法務グループまでお願い申上げます。
(IP総研マネージャー 折田裕二)