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2014.06.23
[シンガポール]
シンガポールはイギリス連邦の加盟国で、英語、マレー語、マンダリン(標準中国語)、タミル語が公用語。シンガポール・チャンギ空港はハブ空港として有名で、2年連続でWorld Best Ariportを受賞している。施設だけでなく職員の対応も気持ちよく、東南アジアの空港とは思えない快適さだ。
シンガポールでは、2014年2月14日に特許法の改正があり、本プロジェクトではテーマの1つとしてこの度の法改正について調査してきた。
シンガポール特許法の旧法から新法への主な変更点は2つあるが、1点目はダブルトラック制度からシングルトラック制度への移行である。旧法ではFast TrackとSlow Trackと呼ばれる2つのトラックがあり、各トラックの中で審査請求の種類に応じた審査請求期限が定められていた。この2つのトラックについてお客様からよく問い合わせを受けており、シンガポールの特許制度の分かりにくい点であった。新法ではトラックが1つになり、シンプルになった。ただ、審査請求期限が旧法のSlow Trackよりも少しだけ短くなっている。
変更点の2点目はSelf-assessment system(旧法)からPositive-grant system(新法)への移行。シンガポールには修正審査制度があり、例えば日本の審査結果を用いてシンガポールで特許を取得することが出来る。Self-assessment system(旧法)の下では他国の審査結果がネガティブなものであっても特許を取得することが可能であったが、Positive-grant system(新法)では他国の審査結果がポジティブであることが求められるようになった。
シンガポール特許庁はアジアのIPハブを目指しているとのことで、ASPECやPPHの利用を推奨している。ASPECはASEAN加盟国間で審査情報を共有することができる制度。シンガポールで認可になった出願に基づきASPECを申請した結果、申請から6-7ヶ月でベトナムとタイで指令書が発行され認可状態になったとの実例を挙げて、シンガポールに出願すればASEAN加盟国で早期権利化できる可能性があることをシンガポール特許庁の方は強調していた。審査が特に遅いタイに出願する場合、同時にシンガポールにも出願しておき、日本での認可通知を用いてシンガポールで登録し、そこからタイにASPECを申請するというルートでタイの審査を早くすることができればかなり有効だ。シンガポール特許庁の思惑どおり行けば、シンガポールは正しくアジアのIPハブとなり、同国への出願は増えてゆくのかもしれない。
[特許第1部 加藤慎也 (シンガポール記事担当)]
=>後篇に続く