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2014.06.25

China-IPPublication.net【中国公証役処 訪問レポート第4弾】 北京市中信公証処 2014年5月

昨年の11月に開催したChina-IPPセミナーでも講師を務めて下さった王主任が所属する北京市中信公証処を再訪することが出来ましたので、その様子を簡単にご紹介させて頂きます。

今回の訪問はChina-IPPサービスをご利用頂いている日本企業様から「公証申請手続きの様子、役場の様子など実際の現場を見てみたい」とのリクエストを頂き実現致しました。王主任は相変わらず多忙とのことでしたが、今回も崔弁護士にご協力頂き、王主任のスケジュールを確保することが出来ました。

今回の訪問では王主任やChina-IPPサービスの代表である崔弁護士などとの意見交換、オフィス・ツアー、また、China-IPPサービス経由での公証申請手続きの様子を公証処スタッフの説明を交えながら確認することが出来ました。また、王主任から以下のようなお話を伺うことが出来ました。

1. 昨年、NGBで開催したセミナーで講師を務めたが、公証処の主任クラスが日本の民間企業主催のセミナーで講師を務めるというのは極めて珍しいこと。今更ではあるが貴重な機会だった。
2. 現在の公証員は32名。(前回の訪問時から2名増員)
3. 事務スタッフは約70名。
4. 2013年に中信公証処が発行した公証件数は129,000件。2012年は90,000件であったので43% アップ。(2011年/88,000件、2009年/70,000件、2007年/32,000件、2005年/17,000件、 2003年/3,000件)
5. 中信公証処が2013年に取り扱った公証の費用総額は約1.5億人民元となり(25億5,000万円相当 )北京市内でトップとなった。(=中国国内でもトップクラスの実績)

続いて、崔弁護士からは以下のようなお話を伺うことが出来ました。

1. 中国でもNPEは増加している。最近では台湾資本、米国資本のNPEも確認されている。今後は開示可能な情報は積極的に防衛公開していくこと、また、早期の証拠保全がより重要になると思う。
2. これまで、中国の知財訴訟件数は大幅な増加が続いていた。しかし、2012年‐2013年の比較ではその増加率は僅かに0.3%に留まった。その背景を確認したところ、中国人同士の訴訟が減少し、外国人(企業)との訴訟件数が約18%増加していることが判った。
3. 第18次全国代表大会において知的財産についてはその保護強化、活用という方針が決まった。併せて、知財に関する専門裁判所の設立が議論された。おそらく、中国でも知財高裁のような裁判所が設立されるであろう。

中国のNPEの存在については以前より崔弁護士にお話を伺っていましたが、その活動はより活発化してきたようです。

それでは、China-IPPサービスでの公証申請手続きの流れをご紹介します。

1. 先ずは申請書類の作成です。申請書類は複数種類必要であり、申請書類の準備だけでも大変な作業であることを再認識しました。
2. 申請書類の準備が整ったら、公証員が申請者の身分証明書を確認します。事前に登録していた身分証明書のコピーと原本(写真付きのカードタイプでした)に相違がないか確認を行います。
3. 次にインターネットを利用して公証申請を行う専用の部屋に移動します。この専用の部屋には6台ほどの専用PCが用意されています。申請用のPCを利用して、申請者は公証員に対して申請対象となる資料、データの所在、概要を説明します。申請人が公証員に対して説明を行う際に表示したPC上の画面は公証員の指示に従い、コピー(プリント・スクリーン)を取り、Wordファイルに貼り付けていきます。画面のコピーが貼り付けられた資料は公証書にも収められます。
4. 公証員は申請人の説明を聞きながらポイントとなる事項をメモに残します。公証書を作成する際の参考にするようです。
5. 申請人の説明が終了した後、今度は公証員自らが対象資料の所在を確認し、データをPC上にダウンロードします。
6. ダウンロードしたデータを公証処が用意しているCDなどの媒体にデータをコピーします
7. CDにコピーしたデータが正しく表示されるかなどを公証員が確認します。
8. 確認作業が終了すると予め用意されていた「物証袋」にCDを入れ、封印ラベルで封印し、さらに公証処印で割印が押されます。

申請人が立ち会って行う申請作業は以上で終了です。申請作業終了後、公証員は公証書の作成に着手します。なお、China-IPPサービス経由でお届けする公証書に記載される内容は、「公証番号、申請人情報、公証の種類(証拠保全)、申請日、対象資料の存在を公証員が確認する為に実施したプロセスを時系列に記載、確認した資料のファイル名、物証袋に収めた資料のファイル名、公証処名、公証員名、公証日、公証処印」などです。また、併せて説明の際に表示した画面コピーも収録され、最終頁には「物証袋」も一緒に綴じられます。

中国公証法では「公証申請を受理した日から15執務日以内に当事者に公証書を発行するものとする。」と規定されています。通常は10営業日程度で公証書が発行されます。

以上、簡単ではありますが、China-IPPサービスをご利用頂いた際の公証手続をご紹介させて頂きました。中国の公証処を訪問した際にいつも感じるのは「ルールに則って粛々と手続きが進められている。それも予想以上に。」ということです。

今後も機会があれば、出来るだけ多くの方々に中国公証処の現場をご覧頂きたいと思っております。本年9月に弊社営業推進部が企画している「NGB PIACツアー2014(仮)」でも公証処の訪問を予定しております。是非、本ツアーへのご参加もご検討下さい。

最後にお詫びと訂正です。以前の記事で「公証処における主任という役職は所長(処長)に次ぐ上級職だそうです。」とご紹介致しましたが、公証処における主任という役職は所謂、所長職とのことでした。王主任、大変失礼致しました。

※今回の公証処訪問に関しては、北京市中信公証処のWebサイトでも紹介されております。
http://www.bjgzc.com/a2619.aspx 

“China-IPPublication.net” についてのお問い合わせは下記担当者までお願い致します。

IP総研 長谷川 雅則、白岡 剛

(IP総研 長谷川 雅則)

左から齐金霞主任助理、王明亮主任、 
崔暁光弁護士
情報交換会の様子
申請書類の準備
公証員への説明

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