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2014.07.23

【ASEANプロジェクト2014】 [ 2 ] ベトナム・インドネシア訪問記(特許調査編)

NGBでは、お客様の関心が高まる東南アジア諸国の知財情報をアップデートするため、ASEANプロジェクト2014を立ち上げました。各部実務スタッフ総勢19名が訪問団を結成、5つのチームに分かれて各加盟国を訪問しています。表題の2ヶ国には5月19日~5月23日、IP総研で特許・意匠の調査を担当している渡邊・中根の2名が訪問。両国の特許庁ならびに代理人(ベトナム2事務所、インドネシア5事務所)をまわって調査インフラに関する現状を確認して参りました。

[公開データベースについて]
ベトナム・インドネシア特許庁ともインターネット上で公開データベースを提供しているが、現状日本から簡単にインターネットで調査が行える調査環境が十分に整っているとは言い難い。具体的には以下のような状況が発生しているとのこと。
・特許庁のスタッフ不足等により収録不足と収録遅延が発生している。
・インドネシア公開データベースに関してはアクセス自体が不安定である。アクセスした時期によっては検索結果が異なるといった現象も発生する。
・収録言語はベトナム・インドネシアとも現地言語(ベトナム語、インドネシア語)である。

[庁内データベースについて]
ベトナム・インドネシア特許庁とも特許庁内に収録状況が安定したデータベースを有している。しかし残念ながら、このデータベースは審査官のみしかアクセスできない。

[侵害防止調査について]
訪問した現地代理人の多くが、出願件数の増加等により侵害防止調査の重要度・必要性が増加しているとの認識を持っている。
また、ベトナム・インドネシアとも公開データベースの収録不足の問題を意識し、独自のインハウスデータベースを構築している現地代理人も存在する。但し、ベトナムにおいては、最新の情報を特許庁から取得することが出来なくなってしまった為、インハウスデータベースの更新が不可能な状態にあるとのこと。

以上各所専門家との面談をとおして、いずれの国もお客様からの引合いに比べて調査環境は相変わらず厳しいことが改めて判明しました。実は、引合いが更に多く重要なタイも当初は訪問予定に入っていたが、戒厳令の発令からクーデターと丁度同国が混乱した時期と重なり、延期を余儀なくされた。政情が安定化し別の機会に訪問がかなった際には、タイの調査環境についても改めて報告させて頂きたい。

[記事担当:IP 総研 渡邊・中根]

[今後のASEAN調査サービスについて]
NGBでは顧客ニーズに合った各種ASEAN調査サービスを企画しています。今回のような現地訪問だけでなく、ASEAN各国の調査環境に関する定期的な情報収集、ベトナム・タイ語の使えるスタッフの採用による調査サービスの拡充を図っています。

(名義調査)
今回訪問したベトナム・インドネシアに限らずASEAN各国においては、まだ国内企業の特許出願比率は少なく、外国企業の出願人が大部分を占めています。技術的な観点(IPC・キーワード)からの特許調査は勿論重要ですが、このような環境下においては、現地での競合が特定のグローバル企業等に限定される場合が多いと推測されますので、名義調査(競合他社名義で検索を行ってその出願情報を収集する調査)によって他社権利を把握することも有効な手段の一つではないでしょうか。

(クレーム対比)
調査によって取得できた現地の公開特許または登録特許(ベトナム語・インドネシア語・タイ語等の現地言語で記載)について、どのようにしてその内容を確認したら良いでしょうか。名称や要約の機械翻訳で十分という場合もあるかもしれませんが、具体的な権利範囲を確認したい場合には日本語又は英語の基礎出願・対応特許の内容を確認するのが有効な手段の一つと考えられます。但し、基礎出願のクレームとASEAN各国でのクレームとが必ずしも同一の権利範囲になっているとは限りません(実際のケースとして確認済み)ので注意が必要です。このとき、ベトナム・タイ語等の現地語を使えるNGBスタッフが両出願を対比分析することで、その相違点を洗い出すことが可能です。翻訳等の作業を行うのに比べて、より簡易的に他社権利を把握することが可能な手法と考えています。

ASEAN各国での調査をご検討の場合は、是非NGBまでお声かけください。
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