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2015.01.22
[Unified Patents Inc. について]
米国において特許の収益化(マネタイゼーション)の動きは活発化している。 特許の収益化を望む製造会社がNPE(Non Practicing Entity: 不実施主体)に特許を売却し、NPEが製造会社に対してその特許を権利行使することで収益を上げ、その収益によりNPEは特許を買収する資金を得るというサイクルが繰り返されている。 このような悪しきサイクルを断つべく2012年に設立されたのがUPで、1) NPEがよく権利行使しているハイテク分野(ハードウェア、ソフトウェアおよび金融関連)において本来無効になるべき特許について例えばIPR(Inter Parte Review: 当事者系レビュー)を提出することにより無効化を図り、2) NPEに金銭を一切支払わない方針で、3) このような活動を通して将来のNPE活動を抑止するといった新機軸を打ち出している。 UPの活動の運営は会員からの会費でまかなわれているが、2014年になって急速に会員数を増やし、現在70を超える会員数になっている。 創立時会員としてはGoogleやNetAppが含まれる。 ハイテク分野の中で係争の多い4つの技術領域(ゾーン:zone)を保護すべき領域としており、クラウドストレージ、コンテントデリバリー、ワイヤレス及び電子支払の技術分野を含む。 電子支払のゾーンは2014年12月23日に設立されたばかりである。 現在までUPがIPRを提出したのは12件、Coulding Corp., Parallel Iron LLC, PersonalWeb technologies LLC, Panitch Schwarze Belisario & Nadel LLP, Dragon Intellectual Property LLC, PanTaurus LLC, Data Speed Technology LLC, CRFD RESEARCH INC., III Holdings 1 LLC, Personalized Media Communications, Custom Media LLC, MLC Intellectual Property LLCといったNPEに対して提出している。 既に和解に至ったケースがあり一定の効果を上げていると言えるだろう。 特許売買の動きに注目し、守るべきゾーンにおいてNPEの手に特許が渡ると、特許無効化の手段であるIPRをNPEに対して提出して、この守るべきゾーンに対してUPが見張っていることをNPEに知らしめ、上記悪しきサイクルを断つというのがUPの活動主旨である。
[訴訟レポート2014]
2015年に入りUPから2014年の米国訴訟レポートが報告されており、UPの活動を裏打ちする興味深い統計であるので紹介する。 詳しくは下記リンクを参照。以下に掲載した各図も同リンク先より抽出した。
http://unifiedpatents.com/2015/01/08/unified-patents-2014-litigation-report/?ct=t(2014_Patent_Litigation_Report1_9_2015)
NPEによる特許訴訟は2011年以降増加しており、2014年は前年に対して少し減少したものの5002件という非常に多い数の米国特許訴訟が提起されている(図1)。
(IP総研所長 折田)
IP総研では、今後ともNPEの活動やそれを抑止するUPの活動については報告させていただく予定です。 UPに関する説明資料をご希望の方は、お問合せフォームよりIP総研までご連絡下さい。