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2015.02.04

【商標NEWS】 中国初の先使用権認定

中国
2014年12月8日 初めて商標の先使用権が認定された判決

改正商標法(2014年5月1日より施行)において、59条3項に先使用権の規定が新設されていますが、2014年12月8日、北京市朝陽区人民法院が、初めて先使用権を認定する注目すべき第一審判決を出しました。訴訟当事者の背景は以下の通りです。

被告:北京尚丹尼美髪中心
北京に4店舗チェーン店を有するヘアサロン。2008年に設立されて以来「尚丹尼造型」を看板、ウェブサイト等に使用。「尚丹尼造型」は未出願。

原告:譚斬月
被告の元従業員の妻。44類(美容院、理髪店)に中国登録商標「尚丹尼」を所有(2012年8月出願⇒2014年1月登録)。登録商標「尚丹尼」は未使用。

原告は、登録商標「尚丹尼」に対する商標権侵害を主張し、「尚丹尼」の使用禁止及び損害賠償を求め提訴しましたが、2014年12月8日の第一審判決により、被告が先に使用し、且つ一定の範囲において一定の影響力があるため、その先使用は商標法59条3項の先使用権の規定に合致すると認定されました。また、原告は、被告が継続的に「尚丹尼」を使用することを禁止する権利を有していないとして、原告の訴訟請求を却下しています。

上記の判例により、今後は冒認登録を有する第三者に商標権侵害で訴えられたとしても、一定の範囲において一定の影響力を有する先使用を立証できれば、その先使用権を抗弁として利用できることが期待されます。

尚、先使用権は、侵害訴訟において抗弁として主張できますが、侵害訴訟では先行権を無効にできませんので、先行権に対する無効審判を別途提起する必要があります。本件の登録商標「尚丹尼」に対しては、無効審判が提起され、現在審理中です。

(商標部 研壁)

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