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2015.02.06
2015年1月1日 改正商標審査基準の施行
本年1月1日より、改正商標審査基準が施行されています。これまで約150ページであった審査基準が、今回の改正で約500ページにまで増えています。但し、ほとんどの内容は、商標法改正(2014年6月改正)により新設された条項に関する審査基準を明示したほか、これまで実務上すでに認定されている判断基準等であるため、新制度を導入したり、過去と異なる判断基準等を示したものではありません。特に重要と思われる事項は下記の通りです。
1. 2014年6月の商標法改正により新設された条項に関する審査基準の明示
新設された下記の条項に関する審査基準がなかったため、今回具体的な審査基準が明示されました。
(1) 著名商標の識別力、名声を損傷させるおそれのある商標の登録禁止規定。
(2) 信義誠実の原則に反する商標の登録及び使用禁止規定。
2. 性質表示の適用要件の緩和及び判断の具体的方法の提示
登録可能な商標が識別力を欠くという理由で拒絶されることを防止するために、性質表示標章の適用要件を明記し、性質表示か否かの判断方法を具体的に提示しています。また、業務標章が誰の業務を示す標章であるかを認識できる場合、その識別力を認めることとし、スローガンや標語であっても、一般的にありきたりに使用されていない場合や、出所表示として認識される場合は、その識別力を認めることになっています。
3. 商標の類似判断基準の補完
商標の類似判断基準をより具体的に記載し、類似判断時に商標自体の類似だけでなく、出所の誤認混同の可能性も判断することを明確にすることで、誤認混同の余地がない商標が拒絶されることを防止するようにしています。
4. 優先権主張の認定要件の緩和
優先権主張における同一性要件が、下記のように緩和されています。
(1) 商標に関して、各国における制度の違いによって不可避的に変更されたり、付記的な部分が削除された場合であっても、商標の同一性を認める。
(2) 指定商品・役務に関しても、各国における制度等の違いによって不可避的に変更された場合、その同一性を認める。
その他、各種の判断基準が補完されておりますが、本欄で全てはご紹介しきれないことをご容赦下さい。
(商標部 研壁)