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2015.06.22
商標局視察
南アフリカで知的財産局に相当する機関は、貿易産業省(DTI=The Department of Trade and Industry) 直下の企業知的所有権委員会(CIPC=Companies and Intellectual Property Commission) です。
プレトリアの中心部に、DTIキャンパスと称する貿易産業省管轄の行政組織を集めた、その名の通り大学のような建物群があり、CIPCも、その中に入っています。セキュリティが非常に厳しく、CIPCビルに入るまで、X線による手荷物検査が数回ありました。
南アの商標出願は、紙ベース出願、電子出願いずれも可能です。電子出願の場合でも、出願人(代理人)から送付された電子出願データは、CIPC受領次第、紙ファイルとして起こされ、その時点から登録証発行まで、すべての工程が紙で行き来します。出願受領・ファイル作成、先行商標検索、実体審査、公報発行、登録証発行、更新出願、各種変更案件、異議申立などのステージごとに担当の職員がおり、それぞれ10名前後の職員を配置。いずれの国でも同様の光景を目にしますが、審査官のデスクには、審査待ちのファイルが山積みとなり、その日を待っています。因みに、南アでは、商標出願の審査促進制度はありません。出願から登録まで、平均して2年かかります。
訪問を終えて
ある現地代理人に言われました。「INTA(国際商標協会)総会等で面会した他国の代理人を南アに招こうとしても、彼らは、南アは危険なので行けないと言うか、考えておくと言いながら実際には来なかった。でもNGBは本当に来てくれた」と。海外とのネットワーク作りは、一朝一夕にできるものではありません。e-mail は、簡便な通信ツールではありますが、それだけでは、お互いの顔が見えません。実際に行く、見る、聞く、会うことが、血の通ったネットワーク作りに、いかに大切であるかを再認識した出張でありました。そして、そのネットワークを通じて得たものを、お客様へのサービスとして還元していきたいと考えております。
一方、当初懸念された安全面ですが、現地では何らトラブルもなく、無事に帰国できました。しかし、それは、危険がなかったからではありません。事前にリスク情報を調べ、現地をよく知る代理人にアテンドしてもらい、行ってはいけない所には決して行かなかったからです。国際空港が在るヨハネスブルグは、先にも述べた通り治安が悪く、そのため、多くの企業が Sandton City 等の近隣の都市に流出する現象が顕著になっている程です。今後、南アをはじめとするアフリカ諸国に行かれる方は、十分な準備、対策を講じられてから行かれますよう、お願い致します。
(商標部 関口・草野)