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2015.11.20
・Option1:国内ルート1(シンガポール特許庁に調査を請求し、次に実体審査を請求する)
・Option2:国内ルート2(シンガポール特許庁に調査と実体審査を同時に請求する)
・Option3:混合ルート(他国での調査結果を提出し、同時にシンガポール特許庁に実体審査を請求する)
・Option4:外国ルート(他国での肯定的な審査結果を提出し、シンガポール特許庁に補充審査を請求する)
2015年9月、シンガポール特許庁はOption4の外国ルートを終了させることを発表した。
Option4では、シンガポールの審査官による新規性・進歩性に関する実体審査は行われず、他国での肯定的な審査結果に基づく補充審査が行われることを特徴とする。終了予定日は2017年1月1日であり、これにより、シンガポールの審査官に新規性と進歩性を審査されずに特許を取得できる道がなくなる。
【今後の動向】
Option4が終了した場合、全ての出願は審査官の審査を受けることになる。
特許の有効性を考えると審査官の審査を受けることが望ましいが、とにかく出願を認可にしたい場合もあるだろう。
そのような場合に役立つOption4が終了するため、出願戦略によっては今のうちに出願しておくのも1つの手段である(ただし、PPHやASPECといった仕組みは残るため、Option4に似た戦略を取ることは可能)。
以前、ASEANプロジェクトの報告にて、「シンガポール特許庁は、『自国特許庁ですべての審査を行う体制を整えてゆく』、『アジアのIPハブとなることを目指している』という目標を掲げて改革を行っている」旨を報告したが、今回のOption4の廃止は、この目標を達成するための一環であることが垣間見える。
(記事担当:特許第1部 加藤)
~~よもやまばなし~~
筆者は2014年にシンガポール特許庁を訪問している。
その時に「Option4(外国ルート)がそのうちなくなるという噂がありますが、本当ですか?」と質問したが、対応してくれた担当者の回答は「知らない」であった。
噂は本当だった。
今思えば、その担当者は半笑いであったような気もしている。