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2016.01.20
http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2015/11/a93.html
従来より、PACEには「加速調査」の申請と「加速審査」の申請の2つの申請内容がありますが、今回の変更はこれら2つの申請可能時期を明確に区別する内容となっております。具体的には、申請時期に関して以下の点が規定されています(上記発表の項目A2, C12)。
・調査段階、審査段階の各段階においてそれぞれ1回のみPACE申請を行うことが可能。
・調査段階でPACE申請を行っても加速審査のトリガーにはならない。
・出願処理責務が審査部に移行すれば、加速審査のPACE申請を行うことが可能。
以前は、加速審査のPACE申請の提出時期に制約が設けられていませんでしたが、変更後の運用では、加速審査のPACE申請は出願が審査部に移るまで待つ必要があります。
また、「加速調査」に関するPACE申請の対象案件も変更が加えられています。具体的には、2014年7月1日以降に出願されたEP出願(ISAがEPOでないPCT出願のEP広域移行案件を含む)については加速調査の申請は不要となりました。これらの出願については、EPO内の取り組み(Early Certainty from Search: ECfS)として自発的に、出願日もしくは161(2)の期間の経過から6ヶ月以内にサーチレポートを発行するよう努めているため、敢えて「加速調査」を申請する必要はありません(項目B8)。今後、「加速調査」の申請対象となるのは、2014年7月1日より前に出願されたEP出願(ISAがEPOでないPCT出願のEP広域移行案件を含む)であって優先権主張を伴っている出願(*)に限られることになります(項目B9)。
*参考: 優先権主張を伴わないEP出願は、今回の変更前の運用の下でも、PACE申請なしに加速調査を実施する対象として定められていました(2010/5/4付Noticeの項目3参照)。
http://www.epo.org/applying/european/Guide-for-applicants/html/e/ga_aii.html
上記以外にも、PACEプログラムからの除外対象となる条件や、加速手続きが中断される条件(項目A4, A5)等が新たに明示されました。また、加速審査の申請に対して、出願人応答もしくは申請受領から3ヶ月以内にオフィスアクションを発行するよう努めること(項目C14)や、PACE申請が著しく多い出願人に対して申請案件の減縮を求める可能性があること(項目A6)も従来通り記載されています。
変更後の運用は2016年1月1日より開始され、各規定は同日以降に提出されたPACE申請に対して適用されます(項目D16)。ただし、例外として、項目A4, A5で規定されている、出願がPACEプログラムから除外される条件や加速手続きが中断される条件については、2016年1月1日以降に係属中の全EP出願に対して適用されます(項目D17)。
(記事担当:特許第1部 田中)