- 知財情報
- アーカイブ
2016.03.25
中国弁護士・中国弁理士・日本国弁理士
張 華威
2016年3月18日、中国最高人民法院は「2015年全国法院審判執行状況」をその公式HP(http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-18362.html)に発表した。同報告書によれば、2015年度の全国人民法院の訴訟受理件数は17,659,861件であり、過去最大の増加率(対前年比22.81%増)を記録した。
知的財産関連事件におけるトピックを挙げると、以下のとおりである。
*刑事、民事、行政事件の第一審合計受理件数は123,493件(対前年比5.98%増)
*民事事件は109,386件で対前年比14.51%増加、行政事件が3,132件と対前年比68.42%減の大幅減少。刑事事件は10,975件で前年なみ(対前年比1.02%減)。
*不正競争関連事件は2,181件と更なる大幅増加(対前年比53.38%増)
*専利権(特許、実用新案、意匠を含む)関連事件が11,607件と大幅に増加(対前年比20.3%増)。
2006年から2015年にかけて全ての法院における専利権関連受理件数の推移を以下のとおりグラフに示す。
また、中国では現在専利法の第4回改正が進んでおり、最新の改正案によれば、専利権侵害における行政強制執行力の介入、間接侵害の明文化、故意による専利権侵害の懲罰的損害賠償、人民法院の裁量による損害賠償額範囲の引き上げ、書類提出命令の導入などが予定されており、侵害賠償責任の強化と権利者の立証の容易化が図られる。
これらにより、専利権の保護が強化され、専利権者にとって権利行使しやすくなる一方、NPE(Non Practicing Entity: 不実施主体)の活動も活発になることも考えられ、中国での訴訟リスクが一層高まることが危惧される。