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2016.04.01
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[分析方法]
分析ツールとしては以前筆者が紹介したLex Machinaを使用した。従来は複数原告が存在する場合も筆頭の当事者だけをカウントしていたが、Lex Machinaから入手できるデータが増えたことで、今回からは複数当事者が存在する場合でも全ての当事者をカウントすることが可能となった。
[原告日本企業]
2015年の米国特許訴訟5,818件の内、日本企業が原告として関わった訴訟は81件、全体の1.4%である。2014年の米国特許訴訟5,005の内、日本企業が筆頭原告となった訴訟は104件なので、2015年の81件はやや減少したことになる。
原告企業数は延べ120社。2件以上原告となっている日本企業のランキング(上位21社)は以下のとおりである。大部分が製薬企業であることが分かる。そしてそのほとんどがANDA訴訟の原告と考えられる。
*ANDA訴訟は簡略化製造申請をする後発医薬品メーカーに対して先発医薬品メーカーが提訴する特許侵害のこと。
日本企業に限定しない2014年の米国特許訴訟全般においてよく使われた連邦地方裁判所はテキサス州東部連邦地裁(1,427件、28.5%)とデラウエア州連邦裁判所(946件、18.9%)であった。2015年はテキサス州東部連邦地裁(2,540件、43.6%)とデラウエア州連邦裁判所(545件、9.3%)となり、テキサス州東部連邦地裁(E.D.Tex)での裁判が大幅に増加した。
さて、2015年の日本企業が原告になった事件の裁判地のランキングは以下のようになる。日本企業の原告は多くはANDA訴訟に関与していると思われるので、全体の傾向とは異なり、ニュージャージー州連邦地裁やデラウェア州連邦地裁での裁判が多いことが分かる。2015年のANDA訴訟は467件であるが、その裁判地のランキングも併せて記載した。ANDA訴訟の裁判地と日本企業が原告となった裁判地がよく相関していることが分かる。ANDA訴訟の被告である後発品メーカーの本拠地など管轄権のある裁判所がこれらの地区にあるものと思われる。