- 知財情報
- アーカイブ
2016.06.17
実務に関わる主な改正点は以下の通りです。(規則内容は抜粋)
〇審査請求費用返還制度の導入
改正規則7(4A) 審査請求が行われていても、最初の審査報告書が発行される前に書式29により出願を取り下げた場合、所定の費用(*1)が返還される。
〇クレームへの括弧つき参照符号の記載の規定
改正規則13(4) 明細書で図示される特徴には、クレームの各構成要素に続けて括弧書きで符号を付さなければならない。
〇国内移行時におけるクレーム削除補正
改正規則20(1) PCT出願からの国内移行に際し、クレームを削除する補正を行うことができる。
(弊社注:旧規則では国内移行と同時の補正については規定されておらず、国際出願時のクレーム数が10を越える場合には超過クレーム料の納付が必要でした。この改正により、出願人はクレーム数を減らして超過クレーム料を削減するという選択が可能となりました。なお、クレーム削除以外の補正については、改正規則で言及されておりません。)
〇特許付与状態とする期間(アクセプタンス期間)の短縮および延長制度の導入
改正規則24B(5) 特許法第21条に基づき出願を特許付与状態とする期間(アクセプタンス期間)は、最初の審査報告書(First Examination Report; FER)発行日から6ヶ月以内。
改正規則24B(6) (5)に基づく期間は、(5)の期間が経過する前に所定費用(*2)を支払うことにより、最大3ヶ月延長可能。
(弊社注:旧規則24B(4)では、アクセプタンス期間はFER発行から12ヶ月以内とされておりました。なお、規則改正前(2016年5月15日およびそれよりも前)に発行されたFERに関してはアクセプタンス期間は旧規則の12ヶ月が適用される旨、インド特許庁からの2016年5月18日付公告(*3)で明記されております。)
〇早期審査制度の導入
新規則24C 電子申請の場合に限り、所定費用(*4)の支払いにより、下記のいずれかを根拠として、早期審査を請求することができる:
(a) インドを国際調査機関(ISA)または国際予備審査機関(IPEA)として選択した場合,
(b) 出願人がスタートアップ企業である場合。
(弊社注:2015年10月に発表されていた特許規則改正草案では、早期審査請求の条件として、インドのISA/IPEAを活用した場合に加えて、「インドで既に製造を開始している」,「特許登録後2年以内に製造を開始する」という条件も見られましたが、今回の改正特許規則ではこれらの「インドでの製造」に係る条件は削除され、日本企業がインド特許庁に早期審査請求を行う道は、実質的に閉ざされてしまったこととなります。)
〇ヒアリング日程変更の導入
新規則129A ヒアリングの日の少なくとも3日前に、所定費用(*5)および合理的な理由と共に、ヒアリングの日程変更を申請することができる。(最大2回まで,各30日以内。)
〇委任状提出期限の導入
改正規則135(1) 代理人への委任は、出願より3ヶ月以内に、様式26により又は委任状の様式によりなされなければならない。当該欠陥が除かれるまで、さらなる手続きは行われない。
〇様式1 (Form 1) の改正
出願人の居住国(country of residence)欄や,優先権証明書のDAS (Digital Access Service) からの取得が新設された。
(弊社注:2016年5月16日以降のインドへの特許出願(PCT出願からのインドへの国内移行も含む)は、新Form 1の提出が必要となります。)
(記事担当:特許部 鮫島、平林)
<参考文献>
・インド特許庁 2016年(改正)特許規則
http://www.ipindia.nic.in/IPActs_Rules/Patent_(Amendment)Rules_2016_16May2016.pdf
・インド特許庁 改正特許規則発効の公告
http://www.ipindia.nic.in/IPActs_Rules/publicNotice_16May2016.pdf
--------------------------------------
*1:支払った審査請求料金の最大90%
*2:一般出願人(自然人,スタートアップ企業,小規模出願人以外)の場合、4000ルピー/月
*3:http://www.ipindia.nic.in/iponew/publicNotice_18May2016.pdf
*4:一般出願人の場合、6万ルピー
*5:一般出願人の場合、5000ルピー