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2016.09.09
2016年6月1日 商標の権利不要求に関するプラクティスの変更
本年5月31日に、ブラジル産業財産庁(INPI)は、商標の権利不要求(disclaimer)に関するプラクティスの変更決議を公告し、6月1日より実施しています。変更前のプラクティスでは、ケース・バイ・ケースにおいてdisclaimerの対象となる商標の構成要素が登録証に明示されていましたが、変更後のプラクティスでは、下記の「標準権利不要求(standard disclaimer)」 が全ての登録証に表示されることとなりました。
原文:”A proteção conferida pelo presente registro de marca tem como limite o disposto no art. 124, incisos II, VI, VIII, XVIII e XXI, da Lei nº 9.279, de 14 de maio de 1996.”
英訳:The protection conferred by this trademark registration is limited by article 124, paragraphs II, VI, VIII, XVIII and XXI, of Law No. 9.279, of May 14, 1996.
上記のstandard disclaimer は、「この登録商標の権利範囲は、産業財産法124条のII, VI, VIII, XVIII 及び XXIに規定された商標の不登録事由によって制限される。」ことを意味しています。従いまして、変更後のプラクティスでは、登録商標の構成要素の中で権利行使できない部分が不明確となります。
今回のプラクティスの変更は、複数の知財専門家団体の反対により一時保留とされていましたが、INPI は反対を押し切って予定通り変更した経緯があります。これまでdisclaimerに対して不服申立を提起するケースが多かったため、今回のstandard disclaimer の採用により審査が早まり、長年問題となっているバックログを減らすという効果が期待されます。然しながら、standard disclaimerは、商標の権利範囲の判断を先送りするものであり、登録商標に基づく権利行使において不確定な争点をもたらすことが危惧されます。
(商標部 研壁)